イートインコーナー、休憩から食事場へ変貌 単身増加で外食ニーズ取り込む

2014.01.06 418号 21面
カフェ店と変わらないほど充実したイートインスペース=ヤオコー平塚宮松町店

カフェ店と変わらないほど充実したイートインスペース=ヤオコー平塚宮松町店

木目調の落ち着いた雰囲気は、ソファでゆっくり過ごせる=いなげや下石神井店

木目調の落ち着いた雰囲気は、ソファでゆっくり過ごせる=いなげや下石神井店

 食品スーパー(SM)やコンビニエンスストア(CVS)の小売各社は店内で飲食できるイートインコーナーの設備や商品を強化し、休憩場から本格的に食事ができる場所として整え始めた。高齢化や少人数世帯の増加を背景に、1人で飲食する機会や即食ニーズが高まると見るからだ。外食の需要を取り込み、ファストフード(FF)など他業態にも対抗する構えだ。

 これまでイートインコーナーは、限られたスペースに簡素な設備で休憩場の役割が強かったが、食事場として見直す考えが出てきた。ヤオコーの川野澄人社長は「高齢者や単身世帯が増え続けている。どこで食事を取るか重要になる」とイートインコーナーを再評価する。店舗で食事など消費する場所として提供することで、ネット販売やCVS、外食など他業態との競争に対抗する武器にもなる。

 ヤオコーは、11月26日開店の平塚宮松町店(神奈川県)でイートインコーナーのスペースを大きく確保し、コーナーに関連した商品も開発した。50~60席ほども設けたイートインコーナーを主通路から分岐して配置し、売場とは別のスペースで落ち着いて食事ができる形にした。今後、ケーキ店がテナントで入り、オープン時の3分の2ほどになるが、他店よりも広いスペースで展開する。商品も店内焼きたてのピザのほか、新しくランチやディナー、ティーセットなどメニュー開発し、ピザカウンターで注文を受ける。通常の売場でもイートインで食べることを想定して商品開発し、惣菜では見栄えもする「カップちらし」など新商品も投入した。サービスでは公衆無線LANのWiFi(ワイファイ)も利用できる。

 他のSMでもイートインを重視する。いなげやは新店や改装店を中心に腰まで深く座れるソファに切り替えたほか、サミットも11月20日開店の野沢龍雲寺店で最新のコーヒーマシンを導入した。セブン&アイグループでもセブンイレブンのセルフコーヒー「セブンカフェ」をイトーヨーカ堂やヨークベニマル、ヨークマートの店舗に入れ、イートイン向けのサービスを強化した。

 CVSもイートインコーナーへの関心を高めている。もともと店内FFに強いミニストップがイートインで他チェーンとの差別化を図ってきたが、ファミリーマートもスペースが確保できる新店を中心に積極的に導入する方向を示している。イートイン導入の効果として、ファミリーマートは力を入れているカウンターコーヒーと調理パンやサンドイッチなどと併売効果が高いという。

 イートインコーナーを含め小売と外食の垣根は低くなっている。高級SMの成城石井は12月17日に東京・麻布十番で新業態としてワインバーを開店する。提供するワインや食材の多くには、成城石井の店舗で販売しているものを使う。ワインバーで成城石井の高品質な商品を気軽に楽しんでもらう場所としてオープンし、新規客の開拓にもつなげる。今後も小売が外食の機能を強化する動きは活発化しそうだ。

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