2026年5月度、外食動向調査 フードコンサルティング
●業績下回る業態落ち着く
日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2026年5月度売上げは、前年同月比9.8%増となり、54ヵか月連続の増加を記録した。
5月は、全国的に気温が上昇し好天に恵まれた日が多く、前半のゴールデンウイーク期間中の好調な客足の多さを受け、客数・客単価ともに増加傾向が続き、客数は前年同月比6.1%増、客単価も3.5%増となった。
業態別では、前年比を下回った業態は年明け以降、1月13業態、2月27業態、3月26業態、4月25業態で推移してきたが、5月は11業態となり、一旦は落ち着いた印象を受ける。
●ラーメン業態が「売れる」理由
前号では、2026年前半における外食業界の大型M&Aについて取り上げたが、今年1月に買収完了となった松屋フーズHDによる大人気つけ麺チェーン「六厘舎」や「舎鈴」などを運営する松富士の買収は、大きな話題となったことを記憶されている人も多いだろう。
そこで今号では、増え続ける外食M&A案件の中より、昨年10月に実行された「萬馬軒」の事例から、「売れる」ラーメン業態の特徴を見ていきたいと思う。
横浜家系ラーメン「壱角家」などを展開するガーデンは、東京都内で4店舗を展開する味噌ラーメンブランドの「萬馬軒」事業を買収し、店舗オペレーション改善などにより、「萬馬軒」の効率的な店舗運営と収益性向上を目指すとしている。「萬馬軒」は売上高2億1200万円、経常利益4500万円(2024年11月期)。
買収時、「4店舗しかない」ということは、買い手から見ればデメリットではなく、むしろ「これから自社の力で全国に何十店舗も拡大できる伸びしろがある」ように見える。萬馬軒のようなブランドが、なぜこれほど「売りやすい(評価されやすい)」のか、その強みを三つのポイントで整理しよう。
(1)「東京みそラーメン」という極めてわかりやすいキラーコンテンツ
ラーメン業態に限らないが、尖りすぎたニッチな味や、説明が難しい複雑なスープよりも、「一言で魅力が伝わる王道のジャンル」は非常に強い資産となる。特に、味噌ラーメンは老若男女問わず、またインバウンド(外国人観光客)にとってもなじみ深く、人気が廃れにくい超定番ジャンルであり、「東京」という、国内外で圧倒的なネームバリューを持つエリア名を冠した「東京みそラーメン」というパッケージは、看板を見ただけでどんなラーメンかが想起でき、新規出店する際にも、抜群の集客力を発揮する。
(2)小規模だからこそ買い手が「化けさせやすい」
買収時において直営店が4店舗という規模感は、次のような大きなメリットをもたらす。
▽買収資金を抑えやすい=買い手側にとっても、何十店舗もある巨大チェーンを買収するより、初期投資(買収額)を抑えられるため、多くの企業が検討の土台にのせやすくなる。
▽伸びしろ(成長余地)の大きさ=「味やブランドの土台(萬馬軒の東京みそラーメン)」は完成しているため、あとは買い手企業が持つ「セントラルキッチン」や「仕入れルート」「出店ノウハウ」を掛け合わせるだけで、一気に多店舗展開が可能となる。
(3)「再現性」と「ブランド認知」の絶妙なバランス
萬馬軒のようにファンに愛される確立されたスープの味(ブランド認知)がありつつも、それを数店舗でブレずに提供できていたということは、「誰が作ってもその味を再現できるオペレーションの基礎」がすでに出来上がっていたという証拠。これが「職人の勘」に頼った1店舗だけであれば、大手企業も怖くて手を出しづらい。
萬馬軒の事例の通り、M&Aで高値売却を目指す上で、「店舗数の多さ」は必須条件ではない。わずか数店舗であっても、「誰にでも一瞬で伝わる独自の強み(東京みそラーメン)」があり、それが「マニュアル化(引き継ぎ可能)」されていれば、特に大手企業にとっては即効性を有する魅力的な優良案件に映る。















