ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(88)ヌードルズ28 アジア全域の麺料理を提供
何も開店した店ばかりが新しいわけではない。20年余り続いた店でも、時代の流れにのって新しく生まれ変わり続けなければ生存できない。その古くて新しい店が麺料理に力を入れたのが「ヌードルズ28」だ。中国料理店として開店してもはや22年。エスニック料理の人気が高まるなか、中国の麺だけでなく、アジア全域の麺料理を提供して、客を確保している。(外海君子)
●NY外食産業の生存競争に勝ち残る
移り変わりの激しいニューヨークの外食産業で生存競争に残ってきたのには、やはり理由がある。
同店は、名前の示す通り、麺料理に力を入れた中国料理店だ。提供している麺料理の範囲は広い。ここへ来れば、アジアの麺料理ならうどんでもフォーでもラーメンでも、何でも食べられる。
アメリカでのタイ料理の人気高騰は、目を見張るものがある。同店の近隣にも、4軒のタイ料理店ができた。このタイ料理の人気にのっとって、タイの焼きそば・パッタイをメニューに加えない店はない。パッタイは、同店のベスト5メニューの一つになっている。実は、ニューヨークでは、日本とタイの人気料理を組み合わせたレストランも数多く見られる。
●好みの麺、スープ、具を選んで組み合わせる
さて、同店の麺料理は、ヌードル・スープ、ベトナムのヌードル、炒めたヌードルの3種類。
寒い季節に人気のヌードル・スープは、好みの麺と好みの具を選んで組み合わせるという仕組みだ。麺は、ラーメン、エッグヌードル、うどん、ローメン、チャウファン、ビーフン、セロファン・ヌードルの6種類があり、具は、ワンタン、ローストダック、シュリンプなど10種類がある。スープは、薄めの鶏ベース。ラーメンやうどんにこのスープが合うのだろうかと懸念したが、意外にいける。アメリカでは、スープを作る際にあくを丹念に取らない中国料理店が多いが、同店はきちんと取り除いているようだ。
ベトナム・ヌードルは、フォーとブンの2種類。
炒めたヌードルは、ローメン、台湾風ビーフン、タイのパッタイ、ラオスやタイのドランクン・ヌードル、マレーシアのチャークティオ、シンガポールのカレービーフンなど8種類があり、具を、鶏、野菜、牛肉、エビ、ローストポーク、大豆でできたベジタリアン・ダックの中から選ぶ仕組みになっている。
同店では、こうして、好みの麺や具を選んで、自分好みの麺料理を仕立てて食べることができる。選択肢のたくさんあることを好むアメリカの消費者に向けた仕組みだ。
以前は、マカロニも麺の選択肢の中に入れていたが、人気がなく、アジアだけの麺に限ることにしたという。
●麺以外の料理も充実
また、同店では、ヌードルだけに絞って客のセグメントを狭めるのではなく、ジェネラル・ツァオズ・チキンやパイナップル風味チキンなどのアメリカ風中国料理も提供している。特化したメニューと一般的なメニューを組み合わせて客を引き込むというのが同店の経営方針だ。おかげでメニューはかなり豊富に見えるが、具とソースを変えるだけでいろいろな料理ができるので、厨房の作業はそれほど大変ではないようだ。
●人気メニュー5
「ローメン(伝統的な中国の焼きそば)」(12$95¢)
「チャウファン(肉やモヤシを加えて炒めた中国のライスヌードル)」(12$95¢)
「パッタイ(タイの代表的麺料理)」(12$95¢)
「ドランクン・ヌードル(平たいライスヌードルを使ったラオス、タイの焼きそば)」(12$95¢)
「チャークティオ(肉、ネギ、モヤシなどを加えて炒めたマレーシアのライスヌードル)」(12$95¢)
●事業データ
ヌードルズ28(Noodles28)/所在地=417 Third Avenue New York NY/開業日=1992年7月/営業時間=全日 午前11時半~午後10時45分/席数=約50