メニュートレンド:貝料理専門店のラーメンランチ 「ゑぽっく」
大阪・心斎橋にある「ゑぽっく」は、貝料理専門店。夜は、さまざまな貝を、多彩な味わいで楽しませてくれる“大人の店”だ。しかし、昼はガラリとチェンジ。ランチにラーメンを提供し、ひと味違うメニューが評判を呼んでいる。ジャンルが違う店が発信する、ラーメンメニューを紹介する。
●貝のだしを活用し塩と醤油提案 トッピングには鶏のタタキ
香ばしいスープの香りが広がる、「ゑぽっく」のランチタイム。メニューは、ラーメン2種類のみという、シンプルなスタイルで運営している。同店がランチを始めたのは、昨年の8月から。「和洋の定食ではありきたり。貝のだしを活用したメニューを考えた」と、店主の豊永太一さん。
目指したのは、ラーメン店とは違うアプローチでの、貝の存在感を全面に出したラーメン。「貝そばVIANCO」は、アサリの風味を生かした塩ラーメン。かえしに、干し貝柱のだしや白醤油などを使用し、地鶏や鰹節、アサリのだしで調節した、あっさりとしたスープで仕上げている。
一方、「牡蠣そばBLACK」は、パンチ力のある醤油ラーメン。有名ラーメン店の“大阪ブラック”を意識して考案したという、濃色のスープが特徴である。ベースは、カキを煮て抽出するエキスと濃口醤油で作る、自家製たまりのカキ醤油。鶏がらや醤油、みりんなどで作るスープと合わせ、カキのうま味が溶け込んだ一品となる。具材にも、しっかり味付けされたカキの身が入り、納得できる食べ応えだ。
また、トッピングには、豚のチャーシューではなく、鶏のタタキを採用。味付け卵、水菜のおひたしとともに、別皿で用意する。あっさりした鶏むね肉が、繊細な貝のだしにマッチし、全体的なバランスへの配慮が感じられる。
セットの日替わりご飯は、季節により変化。ちりめん山椒やシラス、鶏そぼろ、高菜、とろろなどをご飯にのせるスタイルで提供している。ご飯がいらない場合は、100円引きになるが、客の7割はセットで注文するという。麺は、“貝のラーメンに合う麺”として、低加水であっさりした極細ストレートを採用。そばのようなイメージで、主役の貝とスープに調和する。
同店のランチタイムは、女性客が5割。リピーターも多く、口コミで評判が広がり、遠方から訪れる“貝好き”もいるとか。昼夜では客層が違い、昼の営業が夜につながっている実感はないという同店だが、「今後は、違うラーメンメニューも考えていきたい」と、意欲的だ。貝の魅力を、どのようなラーメンで表現してくれるのか注目である。
●店舗情報
貝料理専門店「ゑぽっく」 経営=YEBISU CORPORATION/店舗所在地=大阪府大阪市中央区東心斎橋1-6-4/開業=2012年5月/営業時間=午前11時30分~午後2時、6時~11時 無休/坪数・席数=約16坪・16席/1日平均客数=昼約20人、夜約16人/平均客単価=昼1000円、夜7500円
●愛用資材・食材
「マルキン醤白」 盛田(愛知県名古屋市)
貝のだしがまろやかに
同店が「貝そばVIANCO」のかえしで使用するのが、薄口醤油の「マルキン醤白」。干し貝柱やアサリのだしに同商品を合わせることで、貝から出るエグ味がまろやかに調節される。醤油自体のうま味や塩分、薄い色合いも、透明感ある塩ラーメンのスープにマッチする。
規格=1.8L