クローズアップ現在:新店オープン相次ぐ 再注目のかき氷が持つ利点

2026.09.07 571号 17面
大阪和風だしカレーと自家製ラッシーが人気の「ジパングカリーカフェ」(大阪市北区)では、大阪市北区の予想最高気温が30℃以上となった日は、「ふわふわマンゴーラッシーかき氷」を通常価格1,520円(税込み)から約35%OFFの990円(同)で提供する残暑応援キャンペーンを10月12日まで(14時30分~16時限定)実施している

大阪和風だしカレーと自家製ラッシーが人気の「ジパングカリーカフェ」(大阪市北区)では、大阪市北区の予想最高気温が30℃以上となった日は、「ふわふわマンゴーラッシーかき氷」を通常価格1,520円(税込み)から約35%OFFの990円(同)で提供する残暑応援キャンペーンを10月12日まで(14時30分~16時限定)実施している

ジョイフルのカフェ業態「並木街珈琲」でも今夏、本格かき氷メニューを展開。写真は、自家製コーヒーシロップを使用したビターなかき氷「珈琲かき氷」(1,309円・税込み)。かき氷の中にはコーヒーゼリー、ホイップが入っている

ジョイフルのカフェ業態「並木街珈琲」でも今夏、本格かき氷メニューを展開。写真は、自家製コーヒーシロップを使用したビターなかき氷「珈琲かき氷」(1,309円・税込み)。かき氷の中にはコーヒーゼリー、ホイップが入っている

天然氷や旬のフルーツを使ったもの、パフェのようにデコレーションしたものなど、平均1,000~2,000円の高級かき氷が定番化している。写真は、愛知県豊橋市の和菓子屋「お亀堂」の古民家カフェで1日5食限定で販売している「いちごづくしの苺パフェ氷」(1,850円・税込み/夏季限定販売)

天然氷や旬のフルーツを使ったもの、パフェのようにデコレーションしたものなど、平均1,000~2,000円の高級かき氷が定番化している。写真は、愛知県豊橋市の和菓子屋「お亀堂」の古民家カフェで1日5食限定で販売している「いちごづくしの苺パフェ氷」(1,850円・税込み/夏季限定販売)

大阪・吹田市のかき氷専門店「しろいくも北千里」では、ふんわりとした純氷と果実のおいしさを閉じ込めた果実蜜のかき氷を提供。写真は和歌山県のブランド桃「あら川の桃」で作った果実蜜使用の「あら川のももかき氷~緑茶付き~」(1,450円・税込み)

大阪・吹田市のかき氷専門店「しろいくも北千里」では、ふんわりとした純氷と果実のおいしさを閉じ込めた果実蜜のかき氷を提供。写真は和歌山県のブランド桃「あら川の桃」で作った果実蜜使用の「あら川のももかき氷~緑茶付き~」(1,450円・税込み)

埼玉県で10店舗を展開している「うなぎ 和食 大穀」では、本庄店、狭山店、川越菓子屋横丁店、上福岡店の4店で夏季限定の「抹茶かき氷」(1,500円・税込み)を9月30日まで販売

埼玉県で10店舗を展開している「うなぎ 和食 大穀」では、本庄店、狭山店、川越菓子屋横丁店、上福岡店の4店で夏季限定の「抹茶かき氷」(1,500円・税込み)を9月30日まで販売

昨年後半から今年にかけて、かき氷を出す店が都内を中心に続々オープンしていた。専門店だけではなく、これまで提供していなかった既存の店でもかき氷を新メニューとして導入するケースも増えた。検索サイト「食べログ」においても、「新規のかき氷店」の特集を組んでいるほどだ。衰え知らずの人気だが、なぜ今年に入り再び専門店が増えているのだろうか。

●かき氷ブームは自由度の高さ

かき氷は2000年頃からじわじわと市場が広がっていった感がある。2010年代になると、一気に店舗数が増えていった。まだ「ブーム」の兆しがなかった頃、いわゆるフワフワした食感の氷が削れるという機材に接する機会があり、「必ずかき氷ブームが来る」と予感したのを覚えている。そんな話を知人に話すと、「え?かき氷?あれがブームに?」と言われたが、誰も注目しなかった氷に無限の可能性があるように思えたのだ。なぜかというと、かき氷の持つ自由度に魅力を感じていたから。いくらでもアレンジができる。その自由度の幅広さが今日までの人気を支えており、進化し続けられる要因ではないだろうか。

●アレンジ力の鍵「氷」の特性

これまで「頭にキーンとこないふわふわ氷」の味に驚かされ、それと同時に「着色していない本物のフルーツや野菜を使った手作りソース」の店や、「天然氷」を使用している店が話題になった。その後もかき氷は進化を続け、ホイップクリームやグラノーラ、チーズや生のフルーツなどさまざまなトッピングが追加されていき、もはや器に入りきらないほどの量を美しく盛り付けるコツとともに「映える」スイーツになっていった。

このアレンジ力は、ベースになるのが「氷」だからだろう。氷の原料は「水」なので、まさに無味無臭、無添加で、カロリーも塩分も糖分もゼロだ。どんな食材でもソースでも受け入れられる間口の広さがかき氷のベースになっている。一時、韓国かき氷が人気となり、水からの氷ではなくミルクや果物を削ってベースにした濃厚な氷も出たが、やはり基本は「水」からできている「氷」である。そのベースに「氷が溶けるのと同じくらいのタイミングで溶けるもの」と、「氷とは逆に溶けにくい食感のもの」の両方の食感の材料を組み合わせる。それによって、食べ進めていても飽きにくいおいしさを演出できるのだ。

さらに口に入れた途端に溶けていくので、スイーツの中では胃もたれしにくいスイーツでもあり、背徳感も生まれにくい。また、和にも洋にも対応できる点も自由度が高いといえる。

●飲食店にとっての参入メリット

昨年から今年にかけてかき氷に参入する店が増えている背景として、飲食店にとっての利点の多さだろう。まずは物価高、人手不足への対応力があるということ。一般的にスイーツに必須とされやすいバターや小麦粉、乳製品などの高騰原料を使用せずに作ることができる。さらに、専門的な知識や技術がなくても、多少の訓練によって調理経験が少ないアルバイトスタッフでも作ることが可能という点も大きい。

加えて利益率の高さもある。2026年は進化系かき氷店では2000円超えの商品も珍しくない。かき氷は、映える高級スイーツとして認知されつつある。さらに複雑な調理工程が少ないので、小規模、低予算で開店しやすい業態といえるだろう。また、不純物を入れない「純氷」と呼ばれる透明な氷を作る技術の発展により、ふわふわした口溶けの良い食感のかき氷が作りやすくなった背景もある。

●客単価と回転率にも注目したい

一定の客単価を得られるに加えて、客の回転率も他のスイーツと比べると高い点もポイントだ。なんといっても食べなければ溶けて水になってしまうので、提供されたらすぐに食べる、パクパク食べる。スマホを見て時間を費やすとか、おしゃべりにうつつを抜かしている暇は客にはない。さらに、水分をたっぷり摂取するため、コーヒーを新たに追加注文する人は少ない。溶けてしまった器に残った「氷だった水」を眺めるのもむなしいので、長居をせずに退店する客が多いのだ。ここが、「まったりカフェ」などでスイーツを食べる時間の使い方とは多いに違うと考えられる。

●気候変動も味方につける

気候変動も後押ししている。暖冬傾向で4、5月から猛暑になり得る昨今は、一年中オープンしているかき氷専門店も珍しくない。もはや夏だけの商品ではなくなりつつあり、温暖化は今後も続くと予測されているので、年中メニューに取り入れやすいのだろう。

こうしたことを総合的に見ても、状況が厳しいとされる外食産業にとっては救世主になるような商材なのかもしれない。

(食の総合コンサルタント トータルフード代表取締役 メニュー開発・大学兼任講師 小倉朋子)

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