ファストフードの雄「ハンバーガー」 週刊誌1冊分の値段が基本
「早い・安い・うまい」というのはファーストフード商品のストア・コンセプトで、この分野の代表的商品というと、やはりストレートにハンバーガーをイメージする。
ハンバーガーはビーフなどのパティにレタス、トマト、玉ねぎといった野菜類を添えて、それをバーンズで挟んで食べるスナック商品で、そのスピーディな提供方法と商品のファッション性がウケて、若者世代を中心に独自の市場を創造している。
ハンバーガーはいわば“大量生産方式”のフード商品で、客からオーダーを受けて商品を手渡すまで僅か数一〇秒という手早さで、他に例のない高速回転のフードサービスを実現している。
文字どおりに「ファーストフード」と形容されるゆえんであるが、この最大のチェーン企業はいうまでもなく、マクドナルドである。店舗数八六五店、年間売上げ二〇〇〇億円。わが国最大の外食(レストラン)企業でもある。
これに続くのはモスバーガー一〇〇〇店、九〇〇億円、ロッテリア六五〇店、七〇〇億円といったチェーン企業でこの三社だけでも市場規模は四〇〇〇億円(九一年度)に迫まる。
具体的なデータはないが、社団法人日本ハンバーグ・ハンバーガー協会に加盟するハンバーガーチェーンは、前記のマクドナルド、モスバーガー、ロッテリアなど含め九社であるが、同協会への未加盟チェーンも入れると、この企業数は二〇社前後になり、このトータルの市場規模は七、八〇〇〇億円に迫まるものと推計される。
モスバーガーのライスメニュー(ライスバーガー)に影響を受けてか、ハンバーガーチェーンも大きく様変ってきた。ハンバーガー最大チェーンのマクドナルドが、“時間帯別メニュー”開発と称して、独自のライスメニュー(マックチャオ)やカツカレーを導入するなど、従来のハンバーガーメニューにこだわらない市場戦略を打ち出してきているからである。
他のチェーンでも似たような動きをみせてきており、ビーフやポークなどといった食材に捉われない商品開発が大きな流れとなってきている。
ハンバーガーチェーンがチキンメニューを増したり、逆にKFCなどのチキンチェーンがバーガースタイルのメニューや焼おにぎりを加えたりと、一方においてはチェーン間の棲み分けもなくなってきている。
それだけ市場環境が厳しくなってきているのか、それとも業界(業態)間のモラルがなくなってきたのか、今やファーストフード業界も大きな転換期を迎えているという印象を強くする。
マクドナルド、モスバーガー、ロッテリア、サンテオレの四社にスポットを当て業界の流れを迫ってみることにする。