“第3の国民食”ラーメン FC22社が独自のラーメン市場形成
昔支那ソバ、いまは中華ソバ、あるいは単にラーメンという。「シナ」というのは蔑視した呼称だというので、国名を冠するときには中華ということになった。
それはさておき、麺類の中でも「ラーメン」に対する食ニーズは強烈なものがある。帝国ニッポンの支那ソバの時代から今日の平成ラーメンに至るまで、「ラーメン」は喜悲こもごも日本人の胃袋と食感を満たしてきてくれている。いわば、すし、そば(うどん)に次ぐ第三の“国民食”という位置づけである。
味付けは味噌、しょう油、塩の三つが基本パターン。これに様々に具を加えれば、その店のオリジナリティが打ち出せる。スープのダシはカツオ節、コンブ、トリガラ、トンコツ、野菜……と単独、あるいは複合の組み合わせで、独自の味が創造できる。
それに味付けの濃淡が加わわる。塩分ひかえ目の「うす味」、辛口の味噌を使ったコクのある「濃い味」。寒い地方、暑い地方と地域性もある。北は北海道から南は九州、沖縄まで、おらがお国のラーメン、地域自慢のラーメンが百花繚乱のごとく存在する。
そして、商品の提供の仕方、売り方もある。屋台でのラーメンは本来的、古典的でさえあるが、カウンター席だけの小さい店、ファミリーレストランタイプ、郊外ロードサイドの店と多岐にわたる。
これら店舗の形態をパターン化し、運営をシステム化すれば、チェーンビジネスということになる。すなわち、FC(フランチャイズチェーン)ビジネスの展開である。
ラーメンのフランチャイズチェーンというと、「どさん子」(㈱ホッコク‐東京・日本橋)が広く知られている。チェーン数は直営二五店を含め一〇三五店(昨年4月末現在)。日本最大のラーメンチェーンである。
どさん子はまた日本を代表するフランチャイズ企業の一つであり、日本のFCビジネス、わけてもラーメン市場の拡大においては、大きな貢献を果し、いまなお業界の牽引力となっている。
どさん子のFC展開に触発されて、多くのラーメンチェーンが登場してきており、現在では「どさん娘」(㈱サトー商事‐東京・荒川)、「どさん子大将」(北宝商事㈱‐東京・板橋)、「さつまラーメン」(さつまラーメン㈱‐福岡市博多)などが、一〇〇〇店に迫まる国内有数のラーメンチェーンとして、どさん子に肉迫しており、それぞれ独自のラーメン市場を形成している。
商業界の「’92日本のフランチャイズチェーン」によると、平成2年の店舗(チェーン企業数二二社)は直営、フランチャイズ店を合わせ計五五三八店、このトータルの売上げは一七七〇億円で、前年比一二%の伸び。
飲食分野のFCビジネスでは、すし、持ち帰り米飯(約四一〇〇億円)、居酒屋(三〇〇〇億円強)、ハンバーガー、アイスクリーム(二六四〇億円)業界に次いで第四位の売上げ規模であるが、ラーメンに対する飲食ニーズは強いので、この市場規模はさらにスケールアップする見通しにある。