企業直営(FC)を拝見 永谷園「銀座天○」天ぷら中心に高級雰囲気で割安感

1992.06.15 6号 3面

㈱永谷園本舗(東京都港区西新橋、03・3432・2511)は、全額出資の子会社、㈱サンフレックス(本社‐福島県)を母体に、ステーキの店「ロッキーコング」、天ぷらの店、銀座天〇(てんまる)、和食処永谷園の三業態を展開しているが、今回は、銀座天〇を焦点にしてまとめた。銀座天〇は、現在、銀座、池袋、上野、渋谷の四店舗があり、最初は銀座店で、平成2年3月29日にオープンした。永谷園は、とかく、メーカーが使う言葉「アンテナショップ」ということを嫌い、本格的な外食事業の展開と位置づけ、積極的に取り組むことになった。

天ぷら店舗の取り組みは、外食産業の母体である、サンフレックスが、永谷園の一次加工を担当している企業で、一次産品がスムーズに仕入れできる。しかも、伝統に裏付けられた、日本人が一番好んで食べる上位ランクに入るということがあげられる。平均客単価は三〇〇〇~三二〇〇円で、銀座の天ぷら店舗に比して、かなり割安感がある。

この点を、同社では、永谷園という看板をしょって、営業するために、高い料金はやはりとれない、ふりかけやカレー、お茶漬という商品を提供している企業であり、消費者を大事にしていくことが、大前提となっている。このために、銀座天〇は、繁華街の一等地にあっても、高い金額はとれない事情がある。店内の雰囲気は、和風造りの落ち着いた感じで、カウンターを中心に、掲げたてを目前で食べられる。これは、逆の見方をすれば、厨房が、そのまま、客の前にきたということであり、人手不足の時代に非常に合理的な業態といえる。

永谷園本舗社長・永谷博氏は、同社の外食産業について、次のように語っている。

「新規事業戦略では、外食事業分野で天ぷら専門店の“銀座天〇”、和食処永谷園、ステーキハウス“ロッキーコング”を展開中だが、とりわけ和食系は順調。注目のもう一つの新規事業は、昨年全国から大募集し話題を呼んだ“食の起業家&プラン”に応募した、一六〇〇件の中から最終段階にまで残った三件くらいに、実現できそうなおもしろいプランがあるようだ。もちろん、三件とも外食とは限らないが」と意欲的である。

銀座天〇の最大の特徴は、新鮮な素材を素早く揚げ、しかも、客に対して割高感を与えない。しかも、高級化を感じさせる店内ということになっている。最近では、接待用として、使われるケースが多くなっている。銀座店をみてみると、三二坪で、実効面積は二八坪前後、席数は五〇席、月間一八〇〇万円前後の売上げで、一坪当たりの売上げは六〇万円、従業員四~五名でパートは、延べ一〇人前後で回転している。また客数は、月間六〇〇〇人前後である。コストは、素材だけであるが、三〇%を切っている。昼の食事メニューと夜のコースメニューがある。一方、郊外型として、和食処永谷園の店舗展開をし、本年中に二店舗オープンさせる予定。ここでも、もちろん、天ぷらは、主力メニューとなる。天〇は、都市のビル型として位置づけており、郊外型は、和食処永谷園という二本柱で展開していく予定となっている。同社は、消費者あっての企業ということで、親切、サービスと、割安感を与えることを第一にしている。

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