ストップ・ザ“O-157” 食中毒ゼロへ厨房での取組3例
一冨士フードサービス(株)(大阪市)は、独自に大阪府公認の衛生研究所を持って日ごろから安全・衛生には万全を尽くしているが、「食中毒をゼロにするには最終的には調理場の一人ひとりの意識しかない。実際、食品工場の方が加工食品を大量生産しているが中毒件数は少ない。給食が工場に比べて発生件数が多いのは人の手が多いから。調理に携わる人の自覚と教育しかない」(同研究所)という。
同社では全社員に同社があみだした衛生管理方法「赤白管理」の徹底を図っている。通常行政などは、まな板、器具類は食材別使用を指導しているが同社では細菌の有無での使い分けを慣行している。
なま物は危険なので赤テープ、加熱調理したものは菌が死滅しているので白テープを貼ったまな板、器具類を使用。三原則の厳守といってもパートの多い現場では至難で、加熱調理して食するようになったものは最低きれいに扱うようにと白テープの器具類に関しては消毒、滅菌を徹底、これができたら赤テープもというように積み立て方式の衛生管理を行い、成果を上げている。
「全て清潔にと理想をいっても現場では結果エラーになる。それならできることを積み上げていくしかない」(研究所)。今回のO‐157についても「特別恐れるものではなく、基本を守れば起こらないこと。ただし、、万が一起こると死亡事故にもつながる」ということから改めて日ごろの衛生管理の大切さを訴えている。
私立幼稚園の給食納入を専門とする宅配弁当会社エンゼルフーズ(株)(東京都足立区)は、当分の間サラダ、和え物、生野菜の使用中止、牛肉・卵製品の使用規制を決め、「病原大腸菌O‐157に対して」というお知らせを喫食幼児の親向けに出した。内容はO‐157の説明、防止対策、万が一症状が出たときの対策などからなる。
「幼児対象の弁当製造という特殊性から一昨年、近代的設備を備えた専門工場“エンゼルフーズ夢工場”を新設、調理室と盛りつけ室を分け、その間に冷却室を設けた。調理した惣菜の短時間での完全な冷却、作業ごとに部屋を区切ることで温度管理、器具類の混同による二次汚染防止などソフト、ハード両面からも安全を追求している」(古賀義将副社長)
富士産業 大手病院 給食受託企業富士産業(株)(東京都港区)は例年5月に食材納入業者を対象に全国八ヵ所で衛生セミナーを開催、社内だけでなく関連企業も巻き込んで衛生に取り組んでいる。O‐157に関しても事件関連の記事を随時情報として全事業所にFAXを流し、衛生三原則の喚起を行っている。