カナダ特集:ポーク 「まい泉」色・味共に均一 欠かせない食材に

1998.03.16 148号 24面

安全でおいしいカナダポークが注目されている。肥沃な大地で実った大麦を飼料に、のびのび育ったカナダポークは、独特の肉質をもっている。トウモロコシ飼料に比べ高タンパク、繊維質が多い大麦飼料により、肉質は脂肪含有率が少なく、きめ細かい。また保水性が高いため肉汁が出にくく、食べた時に肉のうまみが味わえるなど、通常のポークとは明確に異なる特性を与えている。安全性についても、養豚農家も広大な土地に点在し、冬期はマイナス三〇度C前後になる厳しい自然条件のため、ネズミなどによる疫病の発生・まん延も起こりにくい。まさに大自然がもたらす恵みである。

「はしで切れるやわらかなとんかつ」をキャッチフレーズに手堅く客層を広げているとんかつ「まい泉」。

「肉の味、衣の味、ソースの味が三位一体となってこそとろけるようなおいしいとんかつができあがるのです」と、とんかつへの熱い思いを語る小出千代子店主。一介の主婦の身から、とんかつ店開業を思い立ち、東京・日比谷の三井ビル地下に店舗を構えたのが、昭和40年の暮れも押し詰まる12月。

「とんかつは、材料もシンプル。だれにでも作れるだけに、何か違ったものを出したかった」という店主。開業にあたり、とんかつ店めぐりをするが、そこで出合った「湯島・井泉」の味に感動、弟子入りを請う。三日間の約束だったが、ついに七年間修業し、修得し得た味を現在の「まい泉」の味の基礎とした。

「口に入った時、衣と肉が一体となり、しっとりとまろやかな味」のとんかつは、何種類もの油を調合し、カラッとした揚がりで、ソースは野菜を主とした自家製。すべて、とんかつをおいしく食べるために研究されたものである。

試行錯誤の結果、世に出たとんかつは、第一号店からどんどん販売網を広げるほどになり、ついに豚肉の供給が追いつかず、海外産に目が向けられた。

「いろいろ試した結果、カナダ産がいちばん気に入り、以来これを使っており、今ではなくてはならない存在です」

筋質が細かく、色、味とも均質、掃除もキチンとしてあり「長く付き合っていくうち、だんだんうちの嗜好に合った品質になってきたようですね」と満足気。

おいしく、安く、便利なら「国産にこだわることはしません。外国産でも良いものがたくさんあり、むしろ国産の方が勉強不足ではと思うこともあります」

現在はヒレ肉に絞っているが、今後、ロースもカナダから半製品で搬入できるようになればと期待する。

「豚肉は、単価も安く、汎用性のある食材。こうした特性を生かし、安くておいしいとんかつを、東京の郷土料理として展開していきたい」と抱負を語る店主。とんかつに向かって猪突猛進だ。

◆まい泉・青山本店(東京都渋谷区神宮前四-八-五、電話03・3470・0071)開業=昭和40年12月/坪数席数=四〇〇坪二二〇席/営業時間=午前11時~午後10時、年中無休/来店客数=一〇〇〇~一五〇〇人/客単価=一〇〇〇~一五〇〇円/客層=ランチはOL、ビジネスマンが主だが、夜は若いカップルも加わり、全体に客層は幅広い/スタッフ=フロア六〇人、厨房六〇人

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