喫茶特集:業態特化を牽引する有力チェーン カフェ・ラ・ミル
カフェ・ラ・ミルは、ゴルフ事業を展開するSTT物産(株)の経営。徹底した高級志向で、女性客の来店動機を高めている。南仏の農家をイメージした店舗デザインで、古材と白いしっくいのコンビネーションが女性の感性をつかんでいるのだ。
現在、東京を中心に直営方式で二六店舗を展開中だが、バブル期には四〇店舗を出店していた。ポストバブルにおいては消費が減速したことと、店舗運営が惰性に陥っていたことから集客力がダウン、それで不採算店一四店舗をスクラップした。その後、マニュアル的な運営を排除し、常に客の視点で対応できるよう従業員教育を強化、これによって既存店すべてが売上げを伸ばし、本来の集客力を取り戻している。
客層はかつては二〇代前半の女性が中心であったが、現在は三〇代の女性に移ってきている。これは若かった彼女たちがミセスになっても利用してくれていること、オーセンティックな雰囲気とサービス形態が支持されているからだ。
コーヒー豆は南米(コロンビア)産の三年間天然乾燥させたオールドビーンズ。この二種類を深培煎したブレンドのネルドリップで、ミルクを入れても、アイスコーヒーにしても本来のテーストが変質しない商品特性が自慢。
店では客の好みがあるのでマイルド、ストロングの二種類を提供。コーヒーカップにもこだわりがあり、ロイヤルコペンハーゲン、ウエッジウッド、ジノリマイセンなどを使っている。
コーヒーは四〇〇~五〇〇円。オリジナルのケーキ一三種類(五〇〇円、六〇〇円)も提供しており、全体売上げの二割を占める。客単価九〇〇円。店舗での売上げは店の立地や規模によって異なるが、三〇坪六〇席の標準店で月商六〇〇万円以上、五〇坪~八〇坪前後の大型店で二〇〇〇万円前後。