うまいぞ!地の野菜(3)静岡県ミニ情報「浜納豆」
遠州名物に浜納豆がある。香煎をまぶした蒸し大豆に麹菌を培養して豆麹を作り、これにサンショウやショウガの千切りを加え、塩水に四〇~五〇日漬け熟成した後、天日に干して仕上げたものだ。
もともとは中国(唐)から伝来した塩鼓(唐納豆)を起源とする。唐納豆は、味噌の類で坐禅納豆、黒豆坐禅、坐禅豆とも称せられ、主として寺院において製造された。
庭園で名高い真言宗の名刹、三ヶ日町の「大福寺」で代々の住職により受け継がれてきた「大福時納豆」もその一つ。
このほか遠江の金剛寺、浜松の法林寺などがあり、文献では、足利将軍に献上したという記録も残っている。
京都・大徳寺の大徳寺納豆もこの流れをくんでいるが、こうして伝えられてきた納豆は、江戸時代には浜名納豆、明治以降は浜納豆と呼ばれ、浜松の名産品として知られるようになってきた。
地元の家庭でも手作りされ、お茶受け、お茶漬けにと親しまれている。