ヒットメニュー開発講座:中華のニーズは新メニュー
いま中華料理がブームになっている。テレビやマスコミで注目度も高く、さまざまな料理や新しい店の紹介など、中華料理全体に関する情報量が急激に増大してきている。
新しいタイプの繁盛店も次々と登場し、大衆中華から高級店まで、従来にない料理のプレゼンテーションや独自のヒットメニューで強烈にお客の支持を集める店が目立ってきた。
中華業種のメニューは長い間マンネリが続いていたところへ、マスコミなどによる情報の洪水が起き、お客の側に新しい中華料理に対するニーズが生まれていたといえる。
もちろん、中国や香港、台湾などの本場での中華料理を経験した人々も飛躍的に増え、本物の、本格的なもの、より現地的な味や手法の料理に対する認識や要求も高まっている。その意味では、現在は新しいメニューを売り込みやすい環境にあるといえるわけで、自店の活性化のためにも積極的にメニュー開発に取り組むべきだ。
とはいえ、メニューを増やすにはそれなりの技術や食材の開発が必要であり、それを調理する手間や、新メニューであるがゆえのロスの問題もある。この点を解決するのが業務用食材の上手な活用だ。豊富な業務用食材を自店の事情に合わせ、使いこなすことで新しいお客のニーズに対応しよう。
以前の中華料理はどちらかといえば脂っこい料理というイメージがあったが、最近はむしろヘルシーな料理としてとらえられている。
野菜や漢方食材を使うところからの連想で、健康に良い料理とイメージされているのだが、この切り口で注目したいのが、かゆメニュー。
かゆは料理そのもののヘルシー度が強いうえ、具材や添え物でいくらでもメニューバラエティーがつくり出せるメリットもある。難点は仕込みに時間がかかることと、ロスが出たり、逆に品切れになるなど、安定的な提供が難しいところ。
その点、ポーションパックのレトルトかゆなら何の問題もない。ただ、自店での仕込みに比べれば原価が高くなるのは確かで、その点は付加価値をつけたメニュー開発をすることで補うと良い。
本場では手軽でシンプルな朝食料理としての位置づけだが、こちらではむしろ一品の食事として充実した内容にした方が売りやすい。人気は海鮮の具材を使ったものや、それに若干の漢方的なイメージを付加したものにある。
季節の魚介類を具材として、提供方法も土鍋や鉄鍋を使うなど、目先を変えた演出を加えることで付加価値をつけたい。
また、コースメニューの中の飯物に替えて、チョイスできるような売り方も効果的なはず。
し好の多様化、高度化に伴って、より新しい味や食べ方が求められるようになってきた。売れ筋の商品を見ると、ポピュラーな商品でありながら、それを従来とは異なる新しい味で提供することで人気になっていたり、味のバラエティー化によって多様な楽しみ方を提案してヒットしたという例も多い。
ひところの激辛料理の流行もそのひとつといえるが、いま注目したいコンセプトは「ひとつのものをいろいろな味」で楽しめるという商品の売り方だ。ぜいたくになった現在のお客は、たとえおいしいものであってもそれが同じ味では飽きてしまうのだ。
ひとつの料理を食べるうちにも変化を求めるのが現代的なし好なのだといえる。また、いくつかの味のバラエティーがあれば、ひとつの味で決め打ちするよりも、お客の好みにフィットする確率も高まるはずである。
何か新しい味、かなり個性的な味を提案しようとするときに、一種のリスクヘッジとして味の選択肢を与えておくのはうまい方法だ。中華料理ならば、たれ類が役に立つ。業務用のさまざまなたれ類や合わせ調味料を活用し、手軽に味のバラエティー化が実現できる。
ただし、ストレートで使うのではなく、店で独自に調味料や薬味を加えるなどして、自店の味としてアレンジが必要なことはいうまでもない。
中華料理、特にラーメン店など、麺類を主力とする業種にとって、最も重要でやっかいなのが、スープの選択。単品専門店ならば一種類のこだわりスープで押し通すことができるが、バラエティーメニューを持つ店ならば、人気の麺メニューの強化のためにも複数のスープを使った商品を持ちたいもの。
けれども、複数のスープをとるのは作業的に容易ではないし、どちらも切らさず、劣化させずに常にスタンバイしておくのも難しい。そこで活用したいのが業務用に開発されているさまざまなスープ類だ。
あっさりとした清湯タイプのスープの店ならば、コッテリとした豚骨タイプのスープのメニューを品ぞろえすることでより幅広い層のニーズに応えられる。その新たに加えたい商品のスープに業務用の製品を活用すると良い。一食分ずつその都度調理できるので仕込みもいらず、導入当初の販売量が少ないときにもロスを出さずにすむ。
ただ、ある程度の出数が見込めるようになれば、若干の野菜やボーン類を加えるなどして、風味の一層の工夫を図り、自店独自の味づくりをしたい。これからの麺メニューの開発で狙いとしたいのは、女性に好まれるヘルシーなタイプ。チャーシューのボリュームだけで売るのは古びたコンセプトと考えたい。
長引く不況の影響で、ほとんどの飲食店で客単価が下がり気味になっている。とはいえ、経営の都合からいえば、たとえ一〇円でも客単価は高めたいわけで、お客の抵抗が出ない形での客単価アップは重要な課題。高価格の商品は売りづらいとすれば、狙いはプラスワンの追加オーダーによる客単価アップしかない。
そこで改めて注目したいのが、点心メニューだ。中華業種ならば餃子や春巻といった超ポピュラーメニューはどの店でも売っているはずだが、問題はその価格設定の考え方。
一品の注文で完結してしまうメーンメニューとは違い、サイドメニューはほとんどがプラスオンされる形で注文される。そうであれば、もっと気軽に、つい注文してしまう気になるような価格で売る方が効果が高い。
原価率の考え方もこの部門では発想を変え、やや高めの原価率でもかまわないが、そのかわりに数量を売って荒利益の総額を高めることを狙いとすべき。もちろん、手のかかる点心類を多量に作るとなれば、人件費の負担が重くのしかかる。これを解決してくれるのが業務用の点心類だ。
ひところに比べて格段にバラエティーが豊富になり、品質も目に見えて向上している。手軽な価格で、効率良く点心類を売ることで、店の利益は増大し、お客の満足感も高まるという一石二鳥の発想をしたい。