旧暦で楽しむ漢方スローライフ(20)小雪
●小雪(しょうせつ) 11月22日頃
本格的な寒さの到来
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「立冬」が過ぎると、大地には木枯らしが吹き、冬の足音が徐々に聞こえてきます。そして、「小雪」の頃には、吹きすさぶ北風で木々の葉は散り、街はすっかり冬の景色へと様変わりしていきます。
◆冷えや痛みの症状
中医学(中国の伝統医学)では、季節の特徴を六気「風・寒・暑・湿・燥・火」とし、その特徴が過剰になったり不足したりすると邪気(外邪)となり、健康に影響を及ぼすと考えます。
冬は寒さが過剰になることから「寒邪」が体内に侵入して、手足や全身の冷え、関節痛、神経痛、筋肉痛といった症状が現れやすくなります。これは寒邪が「気(生命エネルギー)」や「血(身体の働きを支える栄養物質)」の流れを悪化させたり、体内に停滞させることが原因です。
疲れるとひどくなる痛みや、足腰のだるさ・息切れなどを痛みと同時に感じる時は、気・血が不足している証拠。まずは食事や休養を十分に取って体力作りから始めましょう。
◆漢方でウォームビズ
今年の夏は、東日本大震災の影響による電力不足から節電が求められました。この秋冬の節電には、漢方の考え方を取り入れた冷え対策はいかがでしょうか。
生活面では、服装を普段より一枚多めにして保温を心がけ、入浴で身体を芯から温める、湯たんぽを自宅・職場で活用するなど、日頃から寒邪を寄せ付けない工夫を忘れずに。
食事の面では、冷たい飲み物や食べ物はできるだけ控えめにするのがポイント。胃腸を温めることから一日をスタートさせましょう。食材では、白米、白菜、大根、ねぎ、にんじん、芋類、きのこ類、柿、りんご、栗、かぼちゃ、鶏肉、牛肉、サバ、牡蠣、はちみつ、紅茶、シナモン、黒豆、松の実、ごま、くるみ、黒砂糖などがおすすめです。紅茶に黒砂糖やしょうがを加えた薬膳茶も。
漢方では、冷え対策には気血を補う「イスクラ婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」や「イスクラ参茸補血丸(さんじょうほけつがん)」、痛み予防には「風湿〓桐丸加味方(ふうしつきどうがんかみほう」や食用蟻含有食品がよく使われています。
この冬は漢方のウォームビズで身体を芯からポカポカにして過ごしたいですね。
●お手軽薬膳レシピ:大根と鶏手羽のあったかスープ
気血を補い身体を芯から温めます。
◆「大根と鶏手羽のあったかスープ」
〈材料・2人分〉
大根………………1/4本
鶏手羽元…………4本
しょうが…………1/2かけ
長ねぎの青い部分…5~6cm
長ねぎ………………1/2本
鶏ガラスープ………4カップ
酒……………………大さじ2
塩・黒こしょう……少々
〈作り方〉
(1)大根は皮をむき、1.5cm厚さのいちょう切りにし、下茹でをする。鶏手羽元は熱湯をかけた後、水洗いする。長ねぎは2cmのぶつ切り、しょうがは薄切りにする。
(2)鍋に鶏ガラスープと酒、(1)の大根、鶏手羽元、しょうがと長ねぎの青い部分を入れて火にかけ、沸騰したら弱火にしてアクを取りながら20分煮る。長ねぎの青い部分としょうがを取り出し、(1)の長ねぎを加えさらに10分煮る。
(3)塩、黒こしょうで味を調える。
レシピ担当:鈴木理恵(国際薬膳師、栄養士)
●季節のオススメ養生茶:「板藍茶(ばんらんちゃ)」
この季節の定番茶。マイポットで持ち歩いて。
●旬の食材を取りましょう
二十四節気をカレンダーの中に見つけて、自然のリズムで暮らしてみませんか。私たちも自然の一部です。季節の旬を味わって、ほら、心も身体もゆったりとしてきます。