百歳さんこんにちは:東京都・佐藤君代さん(97歳)

2010.04.10 177号 06面
次女の恵子さん(右)と、三女の悦子さん(左)に囲まれて「幸せです」

次女の恵子さん(右)と、三女の悦子さん(左)に囲まれて「幸せです」

君代さんが味つけする巻き寿司は絶品だ

君代さんが味つけする巻き寿司は絶品だ

 東京都中野区の閑静な住宅地、野方に三女夫婦と同居している佐藤君代さん(97歳)は、日曜日には教会へ礼拝に行くことを欠かさないクリスチャン。闊達で、人への思いやりを大切にする人生を歩んでいる。

 ◆主人の病気で生涯の出会いが

 君代さんは1912(大正元)年10月28日、長崎県出身で、8歳の時に神戸の叔父の家の養女になり育った。中学時代に甲子園に転居し、市立尼崎高等女学校で学んだ。「当時は陸上部で走り高飛びをしていました。水泳もやりました。お転婆でした」と笑いながら女学校時代を思い出す。

 君代さんの人生の大きな転機は結婚だった。「お相手は1歳年下の佐藤慈郎さんという方。関西学院出身のクリスチャンで、同学院の中学部時代、日野原重明先生(現・聖路加国際病院理事長)の2年後輩。グリークラブで一緒でした」。仲がよく、家も近所で友人関係だった。

 「私が日野原先生とお会いしたのは結婚して10年たった頃です。終戦直後でした。結婚後、六甲に住んでいましたが、戦時中に東京・品川に移り住み、63年前から現在の野方に住んでいますが、主人は貿易会社に勤務していまして、戦争中の無理がたたって悪性の肺炎を患いました。当時すでに聖路加国際病院に勤務しておられた日野原先生の治療を受け、そのおかげで主人の病気は治癒。先生は命の恩人で、後光がさしているように見えました。そんなことがご縁になって、先生とは家族ぐるみのおつき合いをするようになりました」と、懐かしさと親しみを込めて語る。

 「日野原先生の息子さんたちが結婚する時の媒酌人を私たち夫婦が、私の娘たちが結婚する時は先生ご夫婦に媒酌をしていただきました」という間柄だ。深い絆と信頼関係で結ばれている。ご主人は13年前に他界した。

 ◆ご奉仕の願いで水彩画を

 闊達な君代さんは、30年前から水彩画を趣味にしている。「田園調布の日野原先生のお宅を“教室”にして、水彩画を習ったのがきっかけです。いまは自宅で、教会関係のお仲間へ描いた絵に聖句を添えてお送りしています。趣味というよりもご奉仕したいという願いで水彩画を続けています。主人がオルガン奏者で奉仕していたので、私には何ができるかと考えて、水彩画を選びました」という。奉仕が趣味になったともいえる。

 ◆一家の買い物を徒歩で担当

 元気の秘訣は、目的意識を持って実行し続けていることだ。51歳で運転免許を取得し、93歳まで自分で運転していた。水泳は76歳まで続けた。「運転免許を取ったきっかけは、初孫見たさと、双子の娘(5女、6女)が15歳の時、ガスの事故で死去したため、小平霊園(東村山市)にお墓参りするためでした」。また、「人を励まし尽くすためには元気でなければできません」と芯の強さをのぞかせる。

 健康維持のため食事にも心を配る。「ちんげん菜やかぼちゃなど煮たものが好きです」。一家の食事の買い物は毎日、君代さんが歩いて出かける。自慢の料理は巻き寿司。「私たちの遠足や運動会など行事の時は必ずお弁当に巻き寿司が入っていました」と次女の恵子さん(70歳)。いまは、お客さんへのもてなし料理“定番メニュー”にもなっている。

 「恵まれた日々に感謝しております」と、きらきらと目を輝かせる。

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