だから素敵! あの人のヘルシートーク:嶋田真理子さん
◆ビューティーライフアドバイザー・嶋田真理子さん
女性誌などでお馴染みのメイクアップアーチスト・嶋田ちあきさんのパートナー、嶋田真理子さんの近著『「おいしいねっ!」嶋田真理子のしあわせレシピ』が話題を呼んでいる。とても43歳には見えないアンチエイジングな嶋田さんだが、5年前まで健康とはほど遠かったという。その変化とこのヘルシーレシピ、周辺を伺った。
テレビ番組で「きれいになる料理」を紹介したことをキッカケに、このような本が完成しました。何をしてもすぐに疲れ、家に帰るととにかく横になる…5年前の私を考えると、夫は信じられないといいます。
20歳で5歳年上の彼と結婚。家事が大好きだったので、しばらくして5年続けたモデルの仕事を引退し、専業主婦を楽しんでいました。ところが23歳で突然、原因不明の難病「原田病」に侵されてしまって。目も見えず耳も聞こえず、三半規管もおかしくなって一人で歩くこともままならなくなってしまったのです。
多忙を極めていた夫は国内外の出張をすべて断り、家事の一切を引き受けて根気良く看病してくれました。華やかな世界の第一線で活躍し、生活感の全くなかった彼が結婚していることすらあまり知られていませんでした。まさかそんな日常をこなしていたとは…でしょうね。おかげでようやく私は28歳で、この病気から回復しました。
とはいっても、寝たきりがそうでなくなったくらいで。白内障、静脈瘤と新たな病気を抱え、それから10年はやっとの思いでキッチンに立って食事のしたくをしていた感じです。そんな私が変わったのは、夫のつぶやいたひとこと。帰ってくるなり、「疲れた…」と。私は全身に鳥肌が立ってしまって。「この人、死んじゃう…」。誰よりも元気でタフな夫でしたが、新オフィスを立ち上げて猛烈に忙しく、考えてみればもう40代。急にどうかなってもおかしくないと初めて気がついて。
病人という社会的弱者の立場で守ってもらうばかり。夫の健康まで頭が回ってなかった自分に猛反省、さんざん看てもらった「ツルの恩返し」をしようと決意しました。
それからの私は、何かに駆り立てられるように行動的になって、身体にいいことを探しては試しました。リフレクソロジーやアロマの勉強をして夫にマッサージしたり。ペーパードライバーも返上しマンション探し、職住近接の環境を整えたり。でも一番大きく変わったのは食生活です。それまでも私が病弱だったので気を遣ってはいましたが、自分のことではあいまいで。けれど家族の危機となると、火事場の馬鹿力というか。彼の好きなイタリアンやお肉で並べていたテーブルを一新、ヘルシーを最大のキーワードに据えました。
自分の中によくそんなエネルギーが残っていたなあと思います。一つよくなると、もう一つやってみよう。人間の中に眠っている回復する力、自然治癒力はすごいな~とビックリします。不思議なことに、その頃からポツポツと私の衣食住の取材のお話をいただいて、本を出させていただいたり。20代、30代、あんなに「私なんてダメ」と言っていた私が…。分からないものです。けれどこんな年齢で元気になる私の話が、いま病気と闘っている人への「負けないで! あきらめないで!」というメッセージになるなら、こんなにうれしいことはないです。
こんな経緯から我が家の定番メニューは健康志向です。でもそれ以前に譲れないのは、おいしくなくてはダメということ。「おいしいっ!」のひとことには、「しあわせ、たのしい、すき、やさしい、うれしい、感動」といった生きる希望につながるプラスの感情がぎゅっと詰め込まれています。食事が化粧品やファッションと一番大きく違うところは、自分一人のきれいで終わらないこと。作る人と食べる人、一緒に食べてくれる人。誰かと幸せを共有できる食、すべての幸せの原点だと思います。
◆プロフィル
しまだ・まりこ 1963年、東京都生まれ。高校在学中に「mcシスター」でモデルデビュー。現在、モデルをする傍ら、自らの経験に基づき、美と健康を心がけた独自のビューティーライフ術を発信。パートナーはヘアメイクアップアーチストの嶋田ちあきさん。