おすすめの一冊:松本元著「愛は脳を活性化する」

2000.09.10 60号 14面

「交通事故で右脳にひどい損傷を受け、“植物人間となるか、意識が戻っても左半身が動くことは期待できない”と医者の宣告を受けた少年がいました。しかし家族が彼に声をかけ左半身を愛撫し続けた結果、奇跡的にも彼は意識も左半身の機能も取り戻し、いまでは普通の社会生活を送っています。家族の愛が彼の脳を活性化させた、脳は損傷を受けても『快』の情動を受け入れる、つまり『情』は脳活性を促すのです」。

近年、脳のしくみが明らかになるにつれ、愛や意欲といった「情」のもつ意味が、科学の言葉で語れるようになってきた。本書は脳を探る最新技術や研究の成果を紹介し脳の機能に関する全く新たな理解を多面的に考察している。

著者の理化学研究所脳科学総合研究センター・松本元氏は「『できる』と思えば脳はできるしくみを作り出す。逆に『できない』と思ってしまうと脳はできない理由を考えます。脳が活性化しないと身体の免疫力も低下します」と語る。脳とは何か? 自分の本質を知りたい人におすすめの一冊だ。

▽岩波書店刊、一〇〇〇円

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