ヘルシー企業の顔:シガリオ代表・舘花ちゑさん、酸化しない玄米全粒粉
玄米全粒粉の大ヒットで躍進中の(株)シガリオ。今年1月末に移転したばかりという東京・虎ノ門の新社屋は、蘭の花で埋めつくされている。華やかな女性社員のみの元気企業の代表取締役、舘花ちゑ子さんを訪ねた。
折しも同社を訪れたのはバレンタインデー。「どうぞ」といただいたのが、写真のトリュフ。見かけも味もまるでチョコレートだが、実は玄米の全粒粉で作られたお団子なのだ。何個も食べたくなる、上品な風味と甘味の逸品だ。
この“玄米の全粒粉”製品『リブレフラワー』と『ブラックジンガー』こそ、同社がめざましい発展をとげるに至る原動力である。
玄米食というと栄養的には理想の食品と誰もが認めながら、調理の難しさや手間のかかること、その消化の悪さから敬遠されがちだった。ところが、同社豊蔵康博会長の三〇余年にわたる研究の結果、世界で初めて玄米をミクロの微粉末にすることに成功。それにより、白米に混ぜて炊き込んだり、小麦と混ぜてパンにしたり、味噌汁や煮物にかけたりするだけで、手軽においしく玄米食ができるようになったのだ。
「コメをただ物理的に粉にするのは簡単。ビーフンだとか上新粉だとかいろいろありますよね。しかし、コメの澱粉(β・ベータ澱粉)は小麦粉の澱粉(α・アルファ澱粉)と違って、冷えるとカチカチになる性質をもっています。だから煎餅・おかき・餅などにしか使えず、粒食が一般的とされてきたわけです。
ところが世界の食文化は、粉食が主流。先進文明圏もアフリカの奥地でも、麦や芋を石臼でひき、その土地の味で食べています。
ですからコメも、粉にできれば人類共通の食糧になるわけです。しかもコメは、連作が効くし、収穫率が小麦粉の一・五倍ある。また栄養的にも数段優れています。二一世紀の食糧問題を見据えると、コメほど優れた資源はないのです。
そこで当社は独自の特殊焙煎技術を開発し、コメのアルファ化した粉を作り出すことに成功したのです」。
同社の特殊製法によれば、粉にしてもほとんど酸化することなく、玄米の持つビタミンB群をはじめ、各種ミネラルなど豊富な栄養を損なうことなく、驚異の吸収力で取り込むことができる。二五ミクロンの微粉末なので、腸内の繊毛のすき間に入り込み、宿便や毒素をかき出す整腸・排便作用、また血液を浄化する、とまさに理想の食物として、世界的な注目を集めている。
「日本では飽食による生活習慣病に悩む一方、世界では毎日多くの子供たちが餓死しています。平成3年から飢餓問題を抱えるペルーやルワンダ、ソマリア、ザンビアといった国々へ、当社の玄米粉『リブレフラワー』が送られています。日本人の感覚で粒のままのコメを送っても、粒食習慣がなく、炊く器具もない国では、せっかくの援助物資も倉庫にただ積まれるだけということもあるとか。
ところが、玄米全粒粉なら主食に混ぜたり、と用途もいろいろ。深刻な子供の下痢などに効くと、大変喜ばれています」。
日本でも医療の現場で、『リブレフラワー』を基本食にして糖尿病など生活習慣病やがん治療などに利用されています。一般のご愛用者にも、生活習慣病予防・ダイエット・アレルギーなどの体質改善・便秘の解消・健康増進・体力の回復など様々に活用しているとの声をいただいております」
またケーキ、クッキー、パン、天ぷらなど料理に使いやすい。都内の有名ホテルにも採用され『リブレパン』として人気を呼んでいる。「栄養性、料理性、保存性などに数多くの特性をもち、外食党の人や、高齢社会の老人食にも最適」。
実年齢より一〇歳以上若く見える舘花社長。「私自身の健康法は、やはり玄米ですね。とはいえ、ストイックに玄米食を励行するわけではなく、おいしく楽しく手軽にが私のモットー。
肉も卵も何でも食べますが必ず食後に『ブラックジンガー』をお湯で溶いてコーヒーのように飲む。それを一日三回飲んでいれば、お通じの悩みはなくなるし、つやつやのお肌も保てます。
それと、人と会うことも貴重な活力源。仕事を通じ、ふつうお目にかかれないような方に会えるのがありがたいですね。それが励みで元気をいただいています」
「玄米のパワーといえば、こんなエピソードが……。いまから二〇年ほど前のある夏の日、玄米を炊こうと、水で研ぎザルに上げたところで、来客があり、急きょ白米を炊くことになったのです。その玄米はボールに移し置いておきました。五日後、『さあ、このあいだの玄米を炊こう』と思ってそのボールを見てビックリ。『ぎゃーっ』とボールをひっくり返し、辺りをおコメだらけにしてしまいました。発芽していたんです。白いツメのようなものがムクムクとびっしり出ていて。玄米のものすごい生命力を実感しましたねぇ」。
この5月には、玄米を籾殻ごと炭化させ粉にした新商品などを発売予定。「今後も玄米全粒粉を中心にした製品を広く発信し、世界中を元気にしたい」という。
たてはな・ちゑこ 昭和26年、青森県八戸出身。44年、八戸商業高校を卒業後、伊藤忠の関連企業で財務経理を経て、63年、(株)シガリオ・ジャパン入社。財務経理と秘書業務を10年間経験し、昨年1月、(株)シガリオ代表取締役に就任。趣味は、スキー、水泳、社交ダンス、アマチュア無線、お茶、習字など。自己啓発セミナーやヨガの講師を務めたことも。「ゆくゆくはブラックジンガーでノーベル賞を取るのが夢」と語る。