百歳への招待「長寿の源」食材を追う「シナモン」降圧、殺菌、胃の痛みに

1998.09.10 36号 24面

シナモンは有史以前から使われていた香辛料の一つ。その防腐力を利用してエジプトのミイラなどに使われていた。特に古代の宗教的儀式には欠かせなかった。

有名なローマの暴君ネロは皇后の死をいたみ、愛の証のためローマにある一年分のシナモンを全部燃やして弔ったという。

一三~一四世紀頃から主産地のセイロン(現スリランカ)のシナモンが注目され始めた。ポルトガル・オランダ・イギリス諸国は国運をかけて激しい争奪戦を繰り広げた。

シナモンはクスノキ科の常緑高木で高さは一〇メートル以上に成長する。収穫期は雨期に入ったときで、枝を切り落とし、樹皮を剥いで二四時間発酵させる。外皮のコルク質を取り除いて乾燥しているうちに管状に丸まる。これがシナモンスティックである。爽やかな清涼感とかすかな辛味、そして芳香性の甘味が入り混じり、外見は鮮やかな薄茶色をしている。

シナモンスティックは、小さな棒状のままカクテル・コーヒー・紅茶・ジュースなどに利用される。かき混ぜることによってシナモンの移り香を楽しむのである。

特にコーヒーの場合、強煎りの濃いコーヒーをドリップで入れ、シナモンスティックでかき回して飲む、カフェ・カプチーノは有名である。またピクルスやシチューなどはスティック一本をそのまま入れておくとコクのある風味あふれた味となる。ケーキやデザートの場合は粉末化して使用される。

ケーキの香り付けの場合、焼きリンゴが有名でシナモンの味によって柔らかなリンゴ味となる。肉料理の場合、豚肉料理やハムのソースにも使われている。特にパンやケーキと良く合い、シナモントースト・フレンチトースト・シナモンロールなどはシナモンが主役。その他、ドーナツ・クッキー・プリンなどに利用される。

シナモンの桂皮アルデヒドを主成分とする揮発油による特有の芳香や辛味などは、食欲増進ばかりでなく健胃剤としての効果も大、そして防臭・防腐剤などに利用されている。

中国ではシナモンは肉桂と呼ばれ古来から漢方薬とされてきた。百病を治し精神を養い、顔色を良くするといわれ、一般の家庭では矯味剤・芳香健胃剤として手軽に利用している。

中薬大辞典によると、(1)中枢神経系統の作用。桂皮中の成分により鎮静作用が大きい(2)降圧作用。高血圧に対し効果的(3)殺菌作用。桂皮油に殺菌性作用がみられる(4)治胃痛。内服すると胃痛を治し健胃効果に‐‐など。動物実験データものせている。主要な効用として、元気が出てくる、胃によく、また腹痛にもよい、と記されている。

シナモンはスリランカや南インドが主産地、中国では広西や雲南など。入手も容易で価格も手ごろである。非常に食べやすいので保健用として日常の愛用をお勧めする。

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