百歳への招待「長寿の源」食材を追う:「コンニャク」

1997.04.10 19号 14面

コンニャクは、奈良時代に中国から仏教とともに伝来した伝統食品で、平安時代にはもう庶民の食べ物として普及した。徳川時代にコンニャク玉を粉にする方法が考案され、全国的に広まった。

コンニャクの特性は「百珍料理書」にみるように、食べ方が多く、田楽・いりだし・味噌煮・昆布巻き・押しずし・白あえ・梅肉あえ・狸汁・氷室・ユズ味噌などと幅広い。

この球茎の主成分はマンナンで、水分を含むと著しく膨張し、しかも強力な粘着力を持つ。耐熱・耐寒性の強いのりとなるので、各種の工業用のりに使われている。

食用コンニャクは精製したコンニャク粉一に対し、水三五の割合で作る。三六倍のコンニャクが出来上がるが、この混ぜる水の量は地方によってまちまち。たとえば、奈良県では固いもの、青森県では柔らかいコンニャクを好む。ヒジキの粉末を加えて、黒い色を好む場合もある。

コンニャクの消化吸収は非常に低く、栄養価値はゼロに近い。このカロリーゼロを利用して、栄養過多の現代は肥満防止用のダイエット食品として注目を集めている。

昔から「コンニャクは砂払い」といって、体内の砂をとるといわれているが、主成分の食物繊維の一種のマンナンが、体内でほとんど消化されず、腸の働きを活発にし体内の老廃物を外に出すためである。便秘予防にも極めて効果的といえよう。

特に最近になって、コンニャクはコレステロールの上昇を抑える働きがある、として注目されている。マンナンにはコレステロールのみならず、中性脂肪の増加を防ぐ効用がある。またコンニャクがホルモンの分泌を促進するという、注目すべき事実も判明してきた。さらに拡大成果が期待されよう。

コンニャクは他の食品にみられない、弾力ある歯ざわりが楽しめる。この特性を生かして、つぎつぎと新分野に向けた新製品が開発され、コンニャク新時代が到来した。

市販され人気を呼んでいるものに、ゼリータイプがある。一口サイズのカップにリンゴ・イチゴ・桃・オレンジなどの果汁を加えてデザートにしたものである。低カロリーでしかも食物繊維に恵まれ、色・味もバラエティーに富み、ファン層は拡大を続けている。コンニャク粉を米粒状に固めた米粒コンニャクは九四年のコメ不足時に登場したが、最近は代用食としてではなく、ダイエット食品として、カロリー制限中の糖尿病患者食としても喜ばれている。

ある大手スーパーではコンニャク雑炊を発売し、健康食品としてレトルト袋入りで売られている。名古屋のあるメーカーは、乾燥糸コンニャクから土佐酢用の一品料理惣菜を発売した。

またコンニャク入りクラッカーやパンも発売された。パンは保湿性がよく味も上々で、低カロリーパンとして注目を集めている。

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