だから素敵! あの人のヘルシートーク:女優・田中好子さん

1996.12.10 15号 4面

温かい笑顔の奥さん役を演じたら、ちょっと並ぶ人がいないほどの田中好子さん。「お正月の新しい顔」として昨年出現した「サラリーマン専科」の第二弾が、新しいシリーズ誕生の期待を込めてもうすぐ封切られるが、ここでも三宅裕司さん扮する主人公の良き女房役としてさわやかに登場している。

サラリーマン稼業とその家庭の喜怒哀楽をお正月初笑い的に味付けしたという、この映画。その見どころを一足お先にうかがいながら、田中さんのプライベートタイムの素顔はどんな表情なのか、せまってみた。

今度の映画の家庭と実際のわが家との共通点ですか? ウフフ、ありますね。ダンナ様である石橋万作を演じている三宅裕司さんと弟役の加勢大周君をじっくり見ていて、ウチの主人と主人の弟の関係とタイプが同じだなと思ったんですね。

ホラ、三宅さんて結構いたずらっ子みたいなところがあるじゃないですか(笑)。加勢君はちょっと引いて大人っぽくて静かでしょう。そういう部分はウチとソックリだなって。長男と次男でそういう違いになるのかな。顔つきもお兄さんの方は三枚目というか楽しくて、弟の子はスマートでカッコいいという。全然似てない兄弟。これも同じです(笑)。

私の役どころは、一生懸命ダンナ様を立てているんだけれど、やればやるほどどこか抜けている……というような奥さん。私の性格と比べてですか? 本人の方がおっとりしているかもしれません。だから三宅さんとか周りの方に引っぱっていってもらっています。

あの今回、すごく感じていることがあるのですが……。喜劇とコントって違うんですね。私は喜劇というものがすごく好きなんですけれど、いままで自分が何本か喜劇をやってきてもとくにこれを意識したことはありませんでした。

けれど今回、三宅さんの演技を見たり監督の言われていることを聞いていて、喜劇というのはもっともっと奥が深いものだということが分かったんです。バライティーなどでコントをやっていた時期が長かったんで、私がやるとどうしてもコント的になってしまう。難かしいですね。

二つの違いですか? うーん、コントっていうのはその場のおかしさっていうか、身体でぶつかっていくおかしさじゃないですか。

でも喜劇っていうのは、何回見てもおかしいというか、クスクスっていう笑いをとる計算がなされているんです。監督は一歩引いて客観的に画面を見ているから、どこで笑いをとってどこで抑えてるというのを全部計算している。こちらのその場での「これが面白いんじゃないの?」なんて考えはみんな却下なんですね。

女優を続けていくための美容法ですか? そんな、特別なことは何もしてません。ただキチンと食事の時間をとってキチンと食事をするということは心がけていますね。ええ、朝食も夕食も自分で作ります。撮影に入っている時も、時間の許す限り。だってあの、女優という自分の好きなことをやらせてもらっているわけじゃないですか。そういう意味で主人に大変迷惑をかけているんですね。だけどものすごく理解があるから。逆にできることはやってあげたいと思っています。

どんなメニューを作るかですか? 朝は和食。ご飯におみそ汁におカズがたくさんないとウチはダメ。朝から夕飯みたいな感じでね。だから前の夜から仕込みをしたりしながらやっています。メニューはとにかく栄養のバランスを考えて。撮影に入ると、外食とか店屋物がどうしても多くなって偏ってしまうでしょ? だから家にいる時は必ず野菜を、それもサラダでなく温野菜で摂るようにしています。そうするとたくさん食べられますから。

私は同じ食生活をずうっと何年もしていても、体重だけは増えていくんです(笑)。自己管理するためには、やはりマメに体重計に乗って状況を把握することでしょうか。朝晩とかね。体重計に乗らないとどんどん自分が太っていっても分からない。ただ「あ? 肉がついた。どうしよう」とか「洋服のサイズがちょっと大きくなったわ」と思うだけでしょ。それではやはりダメなんです。自分の体重がいま何キログラムかしっかり自分の目で確認しないと、努力はできませんね(笑)。

あとは運動を少し。ウオーキングと水泳ですが、仕事がない時にやっています。疲れた時にやると、逆に疲れがとれるみたいなんです。

映画「サラリーマン専科」第二弾のテーマは、サラリーマン家庭にとって最大の試練である単身赴任。万作の大阪行きで石橋家はどうなるのか。12月28日(土)から全国松竹系ロードショー

撮影に入ると注意しなくてはならないのは、美容法というより健康法ですね。この間一日休みがあったのですが、朝起きたら声が全く出なかったんです。撮影所ってホコリっぽくて空気が悪いでしょ。私は喉が強いから大丈夫よなんて意識があるから、家でもうがいしなかったんです。それがイケナかったのかしら。撮影中の毎日は平気だったのに、休みの日に声が出ないなんてね。

声は仕事道具なのに、明日どうしよう、出るかしらって思いながら、ツラいのをガマンして一生懸命うがいしました。

炎症を起こしているのかなと思って、冷えピタを喉に貼ってできるだけ声を出さないようにしていたら、どうにか一日で治ってホッとしました。だけれど撮影が終わるまでは油断できないんです。

だからいまはお塩を持ち歩いて、一日に何度もうがいをするようにしています。

私は臆病だから、自分に自信が持てないとこわいんです。仕事をしていてもそうです。だからかけ持ちもできないし、一つのものを一生懸命やりたいタイプなんです。そのためには努力しないと、自信を持ってできないじゃないですか。現場処理ができない性格なんんですね。歌の頃は分単位のスケジュールだったので現場処理になることが多かったのですけれど(笑)。

台本をしっかり読んで、最低でもセリフは全部覚えてないと動けない。そうやって頑張って監督がオーケーって言ってくれた瞬間、「これでいいんだ」って思います。嬉しいんですね。

プロフィル

五六年東京生まれ。一七歳でキャンディーズとしてレコードデビュー。二一歳で引退しその二年後に女優として復帰。八九年カンヌ映画祭正式出品作品となった「黒い雨」で、多くの主演女優賞を総ナメに。「サラリーマン専科」のシリーズ化で新たに“お正月の顔”としての位置付けも期待されている。「手延素麺・揖保乃糸」「フェミニン」「ライオン」など各社のTVCMでもさわやかな笑顔が好評だ。

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