百歳への招待「長寿の源」食材を追う:「アロエ」

1996.09.10 12号 14面

古来からこの国で身体に良い食品として認められてきた梅干とアロエ。このところキャンデーやデザートなどにも姿を変え、さらにその薬効が注目されている。

(食品評論家・太木光一)

アロエあめ、アロエキャンデー、アロエうどん・そば。最近ではアロエ果肉入りデザート、ヨーグルトなどブーム現象もみられる。アメリカではアロエ口紅、シャンプー、ローションなどがヘルスショップでの売れ筋だ。

アロエは地中海沿岸、アラビア、北アフリカなどが原産の、ユリ科の多年生、多肉植物である。アロエ属は種類が多く四百種をこえるが、日本には二〇〇種ぐらいが入っている。この代表種が木立(キダチ)である。

江戸時代の初期から医者いらずとして民間薬として虫さされや火傷に使われてきた。暖かい地方を好み南九州、四国、伊豆、房総などでは冬でも露地でよく育つ。高さは一~二mに成長し、枝を分岐して群成する。葉は茎を取り巻いて互生し、肉が厚く多汁質で長い剣状をしており、秋から冬にかけて総状または散状の花穂を出す。オレンジ色のきれいな花をつける。

アロエの薬効は広く効果が強い。すなわち、

(1)胃腸病にアロエは苦味健胃剤といわれる程の効能がみられる。慢性胃炎や腸炎、胃弱などからくる食欲不振や胃のもたれに卓効

(2)便秘や痔にも効果がみられる。とくに便秘にはアロエ酒がよい。作り方はアロエの葉五〇〇g、レモン五個、はちみつ一カップ、ホワイト・リカー一リットル。アロエを三センチメートル幅に切ってホワイト・リカーに漬け二週間で引き上げる。レモンは二ヵ月入れておく。苦味の強い酒であるが効果大。

(3)火傷、虫さされ、海水浴の日焼けなどの皮膚の障害に効果的である。葉肉を切ってはりつけるだけでよい。アメリカではアロエベラシリーズとしてアロエトリートメントにされ健康美容剤として人気が高い。

(4)そのほかイギリスでは苦味を利用して幼児の爪をかむくせ治しに使われている。アロエ自身は抗菌性の強いものである。

こうした優れた特性がみられるが、二〇〇種もある中で薬効の高いものはわずか二種のみ。

温暖な地方で地植えされているアロエは薬効が穏やかで、ほとんど副作用がみられない。また日本薬局方でつくられている外国産の局方アロエ(固型エキス)は薬効が強く、妊娠中の人はさけたほうがよい(アロエ酒も同様)。

またアロエの薬効を利用して健康料理もつくられている。

●アロエのきんぴら=ごぼう三〇〇g、アロエ二〇g、赤唐辛子一本、醤油大さじ四、砂糖大さじ二・五、酒・食用油大さじ各二、塩小さじ三分の一。ごぼうは千切りにして酢水につけアクをとる。赤唐辛子は種子をとりみじんに。アロエは千切りに。鍋を熱してごぼうを炒め赤唐辛子、調味料を加え、汁気のなくなるまで煮て、最後にアロエを加え強火で炒る。

●アロエの天ぷら=にんじん、ばれいしょの千切りに千切りアロエを加えてかき揚げする。その他アロエの佃煮もうまい。

世界的な健康志向の高まる中でアロエの薬効は高く、しかも手軽で人気は一段と高まる。

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