ザ・ニッポン地方発 高原の夏はトウモロコシ(群馬・嬬恋村)

1996.08.10 11号 17面

長野県との県境に浅間山が時折噴煙を上げているここ群馬県嬬恋(つまごい)村の夏といえば、高原野菜。高原の夏の夜はさわやかな昼間の温度と大変な差がある。その上に野菜には命の水となる夜露が降りてくる。これらが助けあってあのおいしい高原野菜ができるのだ。

ただおいしいだけではなく、ゆるやかにうねる丘陵に広がる畑はそれ自体が美しい光景を作っている。

この辺りで栽培されているとうもろこしにはハニーバンタム系が多く、背丈が二m近くにもなる。中で働いてる農家の人がやっと見えるほどだ。近くによって作業を見せてもらう。背中に竹籠を背負い手には小振りのナタを持ち、とうもろこしの実のついた枝の根本をちょんと切って反対の手で背中の籠に放り込む。実にリズミカルで、鮮やかそのもの。背中の籠が一杯になると、停めてあるトラクターの荷台にがさっと移す作業を続ける。お仕事をしている方には申しわけないが、本当に見ていて飽きがこない。

とうもろこしの食べ方にはいろいろあるが、とりたてのものをバーベキューするのならおすすめしたいのが野趣溢れるカナダ風焼きとうもろこしだ。もっともらしく聞えるが、至って簡単。とうもろこしを外の皮も毛も付いたままで、できれば炭火で焼く。一種の蒸し焼きのように焼き上がる。これにバターなりしょう油なり好きな調味料をつけていただくと、この世の幸福を一身に受けた感じがする。夕焼けの中に浮かぶ浅間山のシルエットがこの味覚の幸福感を倍増しているのかもしれない。

(自然食料理人・田村匡世)

●生とうもろこしのスープ

◇材料=とうもろこし中2本、玉ねぎ100g、水4cc、スープの素1/4個、牛乳100cc、生クリーム50cc、塩・コショウ、各少々

◇作り方=(1)玉ねぎは皮をむき薄くスライスする(2)とうもろこしは皮とひげをとり、実を包丁でけずる(3)鍋に(1)と(2)と水とスープの素を入れて火にかけ柔らかくする。荒熱をとってからミキサーに入れ細かくする(4)牛乳を加え塩・コショウで味をつけ食べる直前に温め、器に盛ってから好みで生クリームを入れる。

●とうもろこしのコロッケ

◇材料=とうもろこし中1本、玉ねぎ100g、とりももひき肉100g、じゃが芋300g、しその葉5枚、塩・コショウ少々、小麦粉、玉子、パン粉

◇作り方(1)じゃが芋は蒸して皮をむきつぶしておく(2)玉ねぎはみじん切りにする。(3)とりももひき肉は細かく切る(4)とうもろこしは蒸して実をけずる(5)(2)と(3)と(4)をフライパンでオリーブ油を入れて炒めて塩コショウする(6)じゃが芋とあわせて60gの小判型にまとめて小麦粉をつけ、とき玉子、パン粉をつける。油を熱し中温で揚げる。

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