インバウンド繁盛店:ゴールデンタイムが長く続く 「名代とんかつ かつくら 京都駅ビル店」
◇高単価メニューが人気 ごまをすりながら待つのも楽しむ
京都駅に直結している京都ビル11階に、お昼のピーク時間を過ぎても行列の絶えない、ひときわ目立つ店がある。客の40~50%が外国人という「名代とんかつ かつくら」だ。国に偏りはなく、ヨーロッパ、アジアなどの人々が訪れる。外国人客は、ネット上で混雑することを知っているため、あえてずらして来店。そのため、アイドルタイムが極めて少ないという。2年前から売上高が130%伸びている。
●繁盛の理由:ごますり体験も好評
世界の観光都市の中でも人気の京都。外国人が好む日本食で人気上昇中の豚カツ。京都で豚カツを提供する同店は、外国人客の増加とともに、売上げを伸ばしてきた。
粗めの生パン粉をつけて、低温、高温で2度上げしたサクサクの豚カツを、すりごまと選べる2種類のソースと一緒に食べる。すりごまは、料理を待つ間、客自身が小さなすり鉢でごまをする。このごますりを、写真に撮ってSNSに投稿している姿も多い。ちょっとした体験を楽しみ、自慢をしている人も。すり鉢とすりこ木を「売ってほしい」といわれることもあるくらいだ。
●料理の特徴:人気料理が違う
人気ベスト3は、外国人は、1位はヒレかつと大エビの盛り合わせ定食「名物 かつくら膳」(1980円)、2位が「上州匠選豚ヒレかつ膳160g」(2200円)、3位は「三元豚ヒレかつ膳120g」(1840円)。日本人は、「野菜と湯葉コロッケとヒレかつ膳」(1580円)や「湯葉巻きかつとヒレかつ膳」(同)、「ヒレかつ膳80g」(1220円)。
上位三つを比べても外国人客は客単価が高い。さらに、メニュー表を指さし「これはビーフ?」という質問が多いことをヒントに「牛フィレかつ膳」(2980円)を作った。単価が高く、これも人気メニューになっている。
●外国人客の傾向:リピート客も多い
外国人客の傾向として、かつくら京都駅ビル店の牧尾店長は、「欧米系の方は、ゆっくりアルコールと一緒に豚カツを味わって、デザートまで召し上がり、アジア系の方は、定食を召し上がって短時間で帰られることが多いです」と話す。
メニュー表は、英語、中国語、韓国語を揃えている。「英語が完璧にできなくても、親切な対応と笑顔での接客を心がけています。去年も来たよ、とか、短い滞在期間中に2回来店くださる方もいて、リピートしてくださるのがうれしいですね」と牧尾店長。今後は、外国人客に喜ばれるメニューをもっと加えていきたいと語る。
◆店舗情報
「名代とんかつ かつくら 京都駅ビル店」 経営=フクナガ/店舗所在地=京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町901京都駅ビル11階/開業=1994年4月(京都駅ビル店は2001年2月)/オープン=午前11時~午後10時(LO9時)/坪数・席数=30坪・48席/1日平均客数=平日約380人、土・日・祝日約430人/平均客単価=1,630円