メニュートレンド:黒コショウたっぷりのカルボナーラ 想定外の“ワイルド”パスタ

2016.09.05 450号 27面
「黒コショウたっぷりのカルボナーラ」2,052円(税込み)

「黒コショウたっぷりのカルボナーラ」2,052円(税込み)

 観光都市・京都は、飲食店の激戦区。イタリアンレストランも数多く、集客には他店との違いをアピールするツールが不可欠である。四条烏丸にある「スケッチ」は、強力な看板メニューの魅力で客を呼び、利用を広げている店。パスタのイメージを覆す“ワイルド”な姿が話題になり、今や予約の取りにくい店として成長中である。

 ●替え玉は中華麺を採用 客の興味に訴求し利用拡大

 同店でほとんどの客が注文するのが、「黒コショウたっぷりのカルボナーラ」。ラーメン鉢のような器いっぱいに盛られたソースの表面が、大量の黒コショウと粉チーズで覆われており、まずその見た目に驚かされる。

 「パスタはどこに?」と戸惑いつつフォークを入れると、ソースの中からスパゲッティーニやパンチェッタ、マッシュルームが顔を出す。全体を豪快に混ぜて、軽い口当たりのソースに絡ませながら食するのが、このメニューならではのスタイルである。

 コショウの多さに、「辛いのでは」というイメージを持つが、たっぷりのソースと融合することで程よい辛さに変化する。「狙いは、全体的なおいしさを楽しんでもらうこと。コショウとソースの分量を検討することで、味のバランスをとっています」と、オーナーシェフの廣瀬圭介さん。

 また、ソースが残ることが多いため、ラーメンのような「替え玉」(486円)を用意している点も面白い。麺には、パスタではなく中華麺を採用しており、ここでも予想を裏切られる。提供されるのは、麺屋棣鄂(ていがく)の「ウイング麺」で、断面が凸状で複雑な食感が楽しめるのが特徴。最初とは違う麺でソースとの相性を味わえるのも、この替え玉の魅力となっている。

 このように、登場から食後の楽しみ方までユニークな同メニューは、「まず、店に来てもらいたい」という思いから生まれたもの。そこで着目したのが、皆がイメージしやすいカルボナーラ。あえて「知っているものとは違うもの」を考案し、食べてみたいという興味に訴えたという。客のハートをつかむことに成功した看板メニューは、他の料理を知るきっかけとしても活躍している。

 同店では、ボリューミーな皿が多く、ほとんどの客がシェアをして楽しむという。「目指しているのは、食事をしながら会話が成り立つような料理。ただ空腹を満たすというのではなく、料理を見て感動し、コミュニケーションしながら楽しんでもらえるレストランでありたい」と廣瀬さん。このポリシーのもとメニュー開発に力を入れ、にぎやかに食べる“食の楽しさ”を提案していきたいと話す。

 ●店舗情報

 「sketch.」 所在地=京都府京都市下京区白楽天町502 福井ビル1階/開業=2014年12月/営業時間=午後6時~翌午前0時。木曜定休/坪数・席数=16坪・20席/1日平均客数=30人/平均客単価=5000円

 ●愛用資材・食材

 タカナシ「フレッシュクリーム38」 高梨乳業(神奈川県横浜市)

 加熱に適し素材引き立てる

 カルボナーラのソースづくりでたっぷりと使用するのが、タカナシ「フレッシュクリーム38」。熱を加える調理に適し、他の素材と合わせると、うま味をより引き立てる。イメージに合ったコクを出し、バランスよく仕上がるのが魅力である。

 規格=1000ml

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