メニュートレンド:肉好きの食欲をそそる盛り付け はみでるカルビ丼

2016.10.03 452号 02面
「はみでるカルビ丼」1,200円(税込み)

「はみでるカルビ丼」1,200円(税込み)

夜は、店主のアイデア&オリジナルメニューが人気の居酒屋に

夜は、店主のアイデア&オリジナルメニューが人気の居酒屋に

 依然として続く肉ブーム。となると、他店とは違う肉の提供の仕方が問われるところだ。「Fresh&Grill Ichiya いちや」の「はみでるカルビ丼」はメニュー名の通り、スライスされたカルビが丼からあふれ、はみ出ていることで人気となったメニュー。メニュー名のつけ方といい、盛り付けのインパクトといい、ヒットするメニューのツボを押さえたお手本と言えるだろう。

 ●ビジュアルに訴えるお得感 ランチタイムは客の9割が注文

 「はみでるカルビ丼」がテーブルに運ばれると、なにはさておき、その“はみ出し”ぶりに驚く。見ての通り、丼に盛られた白飯を覆いつくすだけではこと足りず、「これでもか」と見せつけるほどはみ出ている。肉好きなら、これだけで垂涎ものだ。

 次に驚くのが、肉のレア感。レア好きでも、「これって、ほとんど生でしょ!?」と一驚せずにはいられない。「はみでるカルビ丼」とは、料理をひと箸も口に運ぶ前から、あの手この手で客の心を動かすメニューなのだ。

 作り方は、まず使用している肉が黒毛和牛。焼肉で“カルビ”と呼ばれるばらの部位で、ブロックで仕入れる。黒毛和牛だけあって、サシの入り方は絶妙だ。ブロックのまま全体に塩をふり、焼き色が付くまで鉄板で焼き、醤油ベースのつけだれに漬ける。

 その後、肉を取り出して、手切りでカットする。厚さは2mm程度。厚すぎると霜降り肉のとろけるような食感が損なわれ、薄すぎると仕上げにバーナーであぶったときに脂が溶け出しすぎる。

 注文を受けてからのオペレーションは、丼にご飯を盛り、ご飯全面を覆いつくすように肉を1枚ずつ丁寧に載せていく。丼から肉が“はみでる”ことがマストだ。

 ご飯にはかけだれとごま油をかける。かけだれの作り方の詳細は企業秘密だが、醤油ベースにミキサーにかけた果物と野菜、沖縄産の「粟國の塩」などを混ぜ、仕上げに加熱。

 丼に肉を載せたら、全体をバーナーで軽く炙る。炙ることによって、霜降り牛の脂身がほどよく溶け、照りが出る。肉にもかけだれをかけ、白髪ネギをトッピングして完成。

 ランチでは、これに小鉢、サラダ、スープをつけ、税込みで1200円(夜は「はみでるカルビ丼」単体で税別1200円)。丼からはみ出るほどの量の黒毛和牛を食べることができてこの値段は、かなりのお得感があり、ランチタイムは客の9割がオーダーするという。さらに驚くことに、「女性客が圧倒的に多い」とのこと。ボリューム感だけではなく、絶妙な肉の厚さや、肉、ご飯、たれの一体感など繊細な仕事が女性客をつかんでいるのだろう。

 ●店舗情報

 「Fresh&Grill Ichiyaいちや」 所在地=東京都武蔵野市吉祥寺本町2-19-7 みすずビルB1/開業=2014年8月/営業時間=正午~午後4時 6時~翌午前6時 月曜日定休/席数=14席/1日平均客数=平日昼夜 各約20人 土・日・祝日 昼約40人 夜約30人/平均客単価=昼約1200円 夜3000~4000円

 ●愛用資材・食材

 「粟國の塩」 ミツワ食品(群馬県前橋市)

 たれの味を引き締める

 原料は、沖縄諸島の一つである粟国島近海からくみ上げた海水100%。海水を採かんタワーに流し、10日間昼夜休みなく水分を蒸発させ、さらに平釜で30時間煮詰めた後、脱水・乾燥させてできる海の結晶から作られた塩。素材のうま味を引き出し、「はみでるカルビ丼」には欠かせない逸品。

 規格=250g

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