ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(109)Kellogg’s NYC 1日中朝食が食べられるカフェ
◇タイムズ・スクエア中心にケロッグのフラッグシップショップが誕生 観光客に人気
コーンフレークなどのシリアルは、アメリカの国民的朝食として、アメリカ人の食生活に深く根付いている。なにしろ調理の必要もなく、ボウルに箱から振り入れて牛乳をかけるだけ。イチゴやバナナ、ブルーベリーなどのフルーツをのせれば、まんべんなく栄養も取れる。朝、シリアルをかき込んで学校に走る思い出をアメリカで育った人なら誰でも持っているに違いない。
そのシリアル専門カフェがこのたびニューヨークのタイムズ・スクエア真ん中にお目見えした。シリアルの最大手メーカー、創業110年のケロッグのフラッグシップ店だ。早速ブロードウェイにある同店を訪れた。(外海君子)
●アメリカ家庭の朝をキャビネットで模擬体験
クリーンで明るいインテリア。カウンターでオーダーすると、ブザーを渡される。ブザーが鳴ると、知らされた番号のキャビネットを開ける。すると、そこには、オーダーしたシリアルがまるでピクニック・バスケットのように待ち構えている。
袋の中に入っているのは、ボウルに入ったシリアル、牛乳、スプーンやナプキンなど一そろい。取り出すのも楽しいし、開けるのも楽しい。パートナーの一人、サンドラ・ディカプアさんによると、アメリカのほとんどの家庭では、シリアルの箱はキャビネットに入っているため、キャビネットを開けてシリアルの箱を取り出すという朝の一連の行為を模擬体験するために、このようなシステムを考案したのだという。
同店には、朝も人が多く来るが、実は、多くのアメリカ人が、小腹が減ったときにスナックとしてシリアルを食べることがあるせいか、ミュージカルを見た後など、夜も多くの客が入る。
●シリアル・ボウルは6種類 マイ・ボウルのオーダーも可
メニューに並ぶシリアル・ボウルは6種類。かの有名な「ミルク・バー」のオーナーシェフ、クリスティーナ・トスィさんがクリエートした。
シリアルにつきものの牛乳は、近郊の農家から仕入れたフレッシュな牛乳だ。シリアル1杯分、12オンスのかわいいプラスチック・ボトル入り。
もちろん、自分で好みのシリアルを選んで、マイ・ボウルをオーダーすることもできる。その場合は、14種類のシリアルから好きなものを選び(R4$50¢、S3$50¢)、8種類のフルーツ、6種類のナッツ、そしてシナモン、レモンピール、チョコレートチップなどの17種類のトッピング(1種類につき1$50¢)から好きなものを選んでもよい。
●シリアルにも最適! アイスクリーム
シリアルは、実は、牛乳をかけて食べるだけではない。アイスクリームのトッピングとしても最適なのだ。同店では、サンデーも大人気だ。実際、同店を訪れたのが夏休みの最中の午後であったため、店にいた多くの人がサンデーを食べていた。一番人気は、アイスクリームにフルーツループスというリング状のシリアルとライムの皮、マシュマロ、パッションフルーツのジャムをのせた「ライフ・イン・カラー」。他に、アイスクリームに、ハニースマックスというシリアル、ハチミツ、トーストしたペカンナッツ、バナナチップスをのせた「ハニー・バズ」など合計4種類がある。
同店で使われているのは、皆、環境に優しい生分解性の器ばかり。スプーンは、60ものサンプルから、ミルクをかけたシリアルを実際にすくって試して選んだ。「ファストフードといえども、隅々に注意を払って最適のものを選ばなければならない」とサンドラさん。
同店は、シリアルという最も日常的でシンプルなものを特別なメニューに仕立て上げたうえ、特別な食体験を提供できることを明かしたブロードウェイのアミューズメント・カフェだ。
◇人気メニューベスト5
(各R7$50¢、S6$50¢)
「ピスタチオ&レモン(スペシャルKオリジナル、フロステッド・フレーク、ピスタチオ、レモン・ピール、タイム)」
「ベリーミー・イン・グリーンティ-(ライス・クリスピー、イチゴ、抹茶)」
「ベリー・オレ(フロステッド・ミニホィート、ラズベリー、ひいたコーヒー)」
「コーニー・ブルース(コーンポップス、ブルーベリージャム、レモン・ピール、塩少々)」
「ライフ・イン・カラー(フルート・ループ、ライム・ピール、マシュマロ、パッションフルーツ・ジャム)」
●事業データ
ケロッグズNYC(Kellogg’s NYC)/所在地=1600 Broadway New York NY/開業日=2016年7月/営業時間=毎日午前8時~午後11時 (感謝祭、12月25日、31日は休み)/客席数=30席(立席を入れると40~50席)/平均客単価=約8$