アポなし!新業態チェック(137)「バターミルク チャネル」原宿店

2019.01.07 479号 20面

 ●ブルックリンのブランチ人気店 伝統的な米国の定番料理コンフォートフードを提供

 2017年の「ザガット」ニューヨーク版で、ブルックリンのベストブランチにランクインした人気店「バターミルク チャネル」が東京・原宿に上陸した。

 同店を出店したのは「くいもの屋 わん」などの居酒屋やレストラン、カフェなどを展開するオーイズミフーズだ。ブルックリンのキャロルガーデンズという地区にある本店は08年の創業。50席ほどの小さな店だが、「ザガット」をはじめ多くのメディアが取り上げていて評価も高い。特にブランチには定評があり、週末には地元だけではなくマンハッタンからも人々が訪れるという。

 メニューは、コンフォートフードと呼ばれる伝統的な米国の定番料理をベースにしたもの。毎日提供されるブランチには、「バターミルクフライドチキン」(1480円・以下すべて税抜き)や「バターミルクパンケーキ」(1280円)、「フライドポークチョップ&チェダーワッフル」(1680円)などがあり、パンケーキなど一部のアイテムはランチタイム以降のカフェタイムにも注文できる。ディナーでは、「ハンバーガー」(1580円)をはじめ、「ダックミートローフ」(2180円)、「フラットアイアンステーキ」(2980円)といった食べ応えのある料理も豊富だ。また、デザートメニューも「バナナプリン」(580円)や「ダグ特製ピーカンパイサンデー」(780円)などオリジナリティーあふれるもの。ドリンク類は「ホットコーヒー」(480円)などのソフトドリンクの他、ワインやビール、カクテルなどのアルコール類も充実している。

 女性だけではなく、男性も十分に満足できるレストランだ。

 ★けんじの評価 原宿の中心で人気店となれるか

 店名の「バターミルク チャネル」とは、マンハッタンの南にある小さな島、ガバナーズ島とブルックリンの間の狭い海峡の名称である。かつてブルックリンが農耕地だった頃、潮流が激しいので、この海峡を船で運ばれる農家のミルクが攪拌(かくはん)されてバターになってしまった、ということから名付けられたのだという。

 同店を出店したオーイズミフーズは1982年の創業。当初はスーパーを経営していたようだが、90年に飲食店を出店し、2000年には現在の主力業態の一つ「くいもの屋 わん」の1号店をオープンしている。居酒屋を中心に展開してきたが、近年はイタリア料理やスペイン料理、焼肉など、さまざまな業態を出店し、日本全国から海外まで幅広く出店している。

 同店があるのは、表参道と明治通りが交差する原宿の中心地。地下鉄の明治神宮前駅から地上に出る出口のすぐ隣に位置している。しかも店舗は表参道に面したビルの1階で、老婆心ながら、さぞかし家賃も高いのだろうと少し心配になってしまった。海外から上陸するブランドが原宿エリアに出店してブレークする、という事例は多い。しかし、この店のようにファストフード系ではなく比較的単価の高いレストランは、少し路地に入った辺りがふさわしいのではないか。原宿のような場所を日常的に利用する人たちにとっては、メインストリートの1階にある店は“わざわざ行く”店とは認識されない場合が多い。特に原宿は、週末に観光客などが多い場所なので表通りは敬遠される。メニューには魅力があるが、うまくブレークすることができるだろうか。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「バターミルク チャネル」原宿店

 開業=2018年9月28日/所在地=東京都渋谷区神宮前1-11-11

 編集協力:株式会社イートワークス(http://www.eatworks.com/)

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