7月3日。今日はソフトクリームの日
7月3日は日本ソフトクリーム協議会が制定したソフトクリームの日。1951年7月3日に明治神宮外苑で進駐軍主催のカーニバルが開かれ、コーンに載せられたソフトクリームが日本人の来場者に初めて販売されたことに由来する。
立ち食いスタイルの普及ともに定着したスイーツ
ソフトクリームは、幼児から女学生、OL、老人にいたるまで、 誰にでも愛される嗜好品として定着している。とくに最近は季節を問わず、年間を通して消費されるようになってきている。
日本に初めてソフトクリームがお目見えしたのは、1951(昭和26)年である。
明治神宮外苑で開かれた進駐軍主催のカーニバルといわれている。そのカーニバルにソフトクリームの模擬店が出店され、コーンに盛りつけられたソフト クリームが公開販売されたのが最初である。
客達は、機械(ソフトフリーザー)の珍しさはもとより、目の前での運転や盛りつけに驚くと同時に、初めて口にしたソフ トクリームの美味しさに2度ビ ックリしたといわれる。
日本での民間で最初にソフトクリームを販売したのは同じ年、 大阪の喫茶店といわれる。その後有名百貨店の食堂や喫茶店、ソバ屋の店頭まで扱うようになったのが1951~52年であり、第一次のブームである。
しかし1958年後半から凋落傾向に入る。第一次のブームは、 衛生問題と過当競争という予期しない問題にぶつかり、凋落の一途をたどることになる。
つまり、フリーザーメーカー、 ミックスメーカー、コーンメーカーや、販売店間の激しい競合が繰り返され、1957年頃より、 販売価格競争、品質低下、衛生管理の不備などの諸問題により、 採算面より脱落する店が増加し、加えて行政面の厳しい規制や、マスコミにたたかれて衰退することとなった。
第2次ブーム、立ち食いスタイルが大都市の繁華街で流行し、 しだいに地方都市へと普及し初めたのが1967年である。1970年、 大阪で開催された日本万国博において、会場内にソフトフリーザー200台が設置され、ソフトクリームの人気が爆発的に上昇した。この頃を第二次ブームという。ソフトクリームの立ち食い、 食べ歩きが“さま”になり、定着したのもこの頃である。
ソフトクリームとアイスクリームの違い
ソフトクリームとは、「フリーザーで- 5~- 7°Cにフリージングし、アイスクリームのように固めないでそのまま食べるもの」である。これは、凍結温度が低く、時間が短いため氷結晶が少なく小さい。したがって、なめらかで口当たりがよく、「できたてのフレッシュ感」があるのが特徴である。
もともとアイスクリームは、 ソフトクリーム状のやわらかいクリームを容器に詰めて-30℃以 下で急速に固め、- 25~- 30℃で 保管されるものである。品温と しては- 18℃以下で売られる。一方、ソフトクリームの品温は- 5 ~- 10℃になっている。
一般的にアイスクリームとソフ トクリームの大きな違いはこの品温の違いにある。これが味覚の感じ方を変えている。たとえば、固まったアイスクリームが溶け始めてくると甘く感じるようになる。アイスクリームは- 18℃以下で、ソフトクリームは- 5℃付近でちょうどよい味にしている。同じ冷菓の仲間でも、アイスクリームとソフトクリームでは配合や作り方が違う。つまり、ソフトクリームはできたてのアイスクリームといえる。
また、ソフトクリームやアイスクリームでは、しばしばオーバーランという言葉が使われる。 ソフトクリームミックスはフリーザーのなかで撹拌されながら 冷却され、適当量の空気を抱き込み、なめらかで適度な冷たさをもったものになる。その空気の混入度合いを示すものをオーバーランという。この空気の含有量はできあがりのソフトクリームの味覚に大きな影響を与える。一般的にオーバーランが低すぎると、ソフトクリームは重くなり風味がくどく、口のなかでの溶けも悪く、組織も粗く硬いものとなる。また逆に、オーバーランが高すぎると気泡が大きくふかふかした食感で空気が多いために味が弱く、冷たさも少ないものとなる。ちなみに、 ソフトクリームのオーバーランは40%である。
ソフトクリームはアイスクリームと同じ乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令) で乳固形分と乳脂肪分の含有割合によって分類される。
ソフトクリームは観光地や酪農牧場など小さな売店で、その地の素材を用いていろいろな種類のものが売られている。基本の配合は牛乳とバニラフレーバーであるが、次のようなものも ある。
- 果実……ウメ、ストロベリー、ハスカップ、夕張メロン、バナナ、ブドウ、パイン、みか ん、すもも、ブルーベリー、 マンゴー。
- フレーバー……チョコレート、 コーヒー、あずき、抹茶、紅茶、ラベンダー、ミント。
- その他……キャラメル、八丁 味噌、イカスミ。
- 野菜……カボチャ、モロヘイヤ、トマト、メープルシロップ。
店頭でフリーザーから出されたソフトクリームのうち、黄味のあるものは乳脂肪を使用した もので300円位、一方、白いものは主として植物油(ココナッツ 油、ヤシ油など)で置換されたもので、100円くらいで売られている。
(日本食糧新聞社『食品産業事典 第九版』(引用箇所の著者:林弘通))