メーカー各社の視点:外食ラーメン トレンドの今

2019.11.04 489号 10面
「担担麺スープ」

「担担麺スープ」

「e-Basic とり白湯ラーメンスープ」

「e-Basic とり白湯ラーメンスープ」

「鶏白湯ラーメンスープ」

「鶏白湯ラーメンスープ」

「甘麹 生みそラーメンスープ」

「甘麹 生みそラーメンスープ」

 ニッポンの国民食、ラーメンの進化は著しく、驚くほど多彩なジャンルが誕生している。時代ごとに、さまざまなブームが巻き起こっては定番ジャンルとして定着し、その裾野は広がり続けている。これほど常に盛り上がり続けているグルメも珍しいのではないだろうか。そこで今号では、業務用ラーメン製品を手掛ける人気メーカー4社に、製品開発現場の視点から見た現代の外食ラーメントレンドを聞いた。

 ◆あみ印食品工業 市場開拓本部販売促進室・神山栄里子氏

 クセになるシビ辛人気堅調 単独素材を訴求した味で集客力UP

 麻辣系のシビ辛味ブームは今年も続いています。ラーメンのうち担々麺、汁なし担々麺は、女性人気が高くファミレスやカフェでの提供が広がっています。

 激辛好きはすでに定着をみせる中、刺激だけでなく、香りや後を引く花椒のしびれ、爽やかな抜けも、また食べたくなるクセになる味わいとして浸透しています。

 その他、原料や素材を訴求した味も今、求められています。当社でも「あごだし」「熟成赤味噌」「鶏白湯」などベース素材が明確な商品の売れ行きが好調です。新商品の「担担麺スープ」も同様、芳醇なごまの香り、辛味が特徴の赤唐辛子、若く爽やかな香りが特徴の青花椒など、赤と青のW使いがこだわりポイントです。ラーメンスープは近年、鍋用スープとして採用も増える中、今年のトレンド“発酵鍋”提案に、発酵調味料の味噌や豆板醤がベースの、担担麺スープを使ってお客さまニーズに応えてはいかがでしょうか?

 ●あみ印食品工業のイチ押し:「担担麺スープ」

 赤と青のW花椒とW唐辛子が決め手

 青と赤のW花椒、W唐辛子で爽やかなシビれとパンチが利いた辛味に深煎りごまのコクが絶妙にマッチ。ラーメンスープづくり67年の老舗企業が満を持して発売した麻辣味。

 規格=1kg

 ●トレンドポイント

 「シビ活」という女性発信の造語が生まれるほど人気のシビ辛料理。クセになるシビれと辛味、深煎りごまの濃厚な味わいは老若男女に受け入れられる味。ラーメンはもちろん、鍋スープにしてもOK。「シビレとカラミのしずく」をお好みで足せば、シビ辛度のアレンジも自在。同品も青と赤のW花椒、W唐辛子が原料に用いられている。

 ◆エバラ食品工業 業務用営業企画課長・岩橋寛和氏

 ひと口目のうま味とキレのある後味のスープに注目

 ラーメンの消費者ニーズは、魚介系だしに代表される王道かつシンプルなスープへと回帰する一方で、シビれる辛さや濃厚なスープなど突き抜けた味わいも人気を博しています。各店が研究を重ねることで業界全体に活気が生まれており、今、外食のラーメン業界は多くの人々を惹きつける魅力あふれる業界になっていると思います。

 また、少し前までは、濃厚豚骨などのようなコクのある後味が注目されていましたが、最近は口に含んだ瞬間にしっかりとしたうま味を感じながらも、その後はスーッと消えるキレのある後味が求められているようです。こうした味わいを演出するために、鶏ガラを煮込んで白濁させた鶏白湯を、あえて豚骨ラーメンのスープにブレンドする手法が広がっています。

 そのような点からも、当社は鶏白湯スープの可能性に期待しています。常に新しい挑戦が続けられる外食ラーメン業界の中で、今後、鶏白湯スープは確固たる地位を築き上げていくのではないでしょうか。

 ●エバラ食品工業のイチ押し:「e-Basic とり白湯ラーメンスープ」

 手軽に活用できる鶏白湯の美味

 鶏のうま味と香味野菜の風味を効かせたラーメンスープ。これ1本で鶏白湯のラーメンスープが完成する。10~1倍希釈タイプ。

 規格=50ml、1.8L

 ●トレンドポイント

 「先味のうま味と後味のキレ感」があるラーメンスープが最近のトレンド。この魅力を演出するのに欠かせないのが、鶏白湯スープだ。また、日本を訪れる外国人には「コクのある白湯ラーメン」が人気だが、宗教上の理由などから豚骨スープがNGという人も多い。その点、鶏白湯スープなら安心して食べられるため、今後さらにニーズが高まるだろう。同品は500mlPETタイプもラインアップしており、サイドメニューとしてラーメンを提供している店舗でも気軽に導入しやすい。

 ◆創味食品 開発本部商品開発課長・小幡友幸氏

 魚介のうま味が味わえるだしが肝

 ラーメン市場ではガッツリ、魚粉、激辛など分かりやすいトレンドが続きましたが、今は各店舗の個性が強くなってきました。そのため、「人気の味はこれ!」との断定や大ヒットのラーメンスープ開発は難しい状況です。消費者のおいしさのハードルも高くなっているのではないでしょうか。

 ただその中でも、“だし”にこだわるという共通点は見られます。うま味がぐっと前に出るのに、あっさりした後味になる魚介系だしを利かせるのは一つの流れです。ハマグリ、アサリ、シジミなどのコハク酸のうま味が利いた淡麗系の和風だしと、独自のベース調味料や油をブレンドし、最後までおいしく飲み干せるスープを提供する店には行列が多いようです。ヘルシーですし、ラーメンユーザーの年齢層も広がっているのかもしれませんね。

 しみじみ味わえる大人味のスープの次はスパイスカレーラーメンなど、個性を振り切った刺激的な味のスープに火が付くのではと注目しています。

 ●創味食品のイチ押し:「鶏白湯ラーメンスープ」

 湯で薄めるだけで本格鶏白湯

 鶏肉の肉感たっぷりの鶏白湯がらスープに、アサリと焼きアゴが利いただしを合わせた本格ラーメンスープ。6倍に希釈するだけで、とろっとした濃厚鶏白湯スープが完成する。

 規格=1kg

 ●トレンドポイント

 ふんだんに使った鶏肉の味がしっかり生きたスープと、アサリと焼きアゴのうま味を合わせて、濃厚ながら後味あっさりのスープに仕上げた。おいしさを追求しながら、特許製法により希釈だけでとろっとしたトロミも出せる簡単オペレーションも他にない特徴。「食数の少ない現場でも作り込んだ味のスープを手軽に提供できる」と小幡氏が語る自信作だ。

 ◆平和食品工業 取締役営業本部長・千丸勇郎氏

 「健康感」がキーワード 味噌ラーメンが盛り上がる兆し

 やはり麻辣系のシビ辛ブームは、まだしばらくは続きそうですね。また最近は、野菜をたっぷり使ったタンメンが注目されているのを感じます。それも塩味だけでなく、味噌や豚骨を使った濃厚な味噌タンメンや豚骨タンメンへと、バリエーションが広がっている。野菜がたっぷり取れるという健康志向が人気の要因でしょうか。

 訪日外国人観光客に目を向けると、彼らのお目当ては豚骨ラーメン。ただ、海外の豚骨ラーメンは、日本のものよりもずっと薄味です。そんなことからも、万人にウケる適度なコクの食べやすい豚骨ラーメンが、全国的に増えていくのではないでしょうか。

 そして、これからますます伸びる、と当社が着目しているのは、味噌ラーメンです。発酵食である味噌の健康感は、現代のニーズにマッチしています。外食店における味噌ラーメンは、まだ進化するポテンシャルを秘めている。合わせるスープや具材によって、もっと面白くなるはずです。

 ●平和食品工業のイチ押し:「甘麹 生みそラーメンスープ」

 生味噌の風味しっかり

 生味噌の風味を生かすチルドタイプのラーメンスープ。米麹の天然の甘味と、こってりとした背脂を加えた白湯濃厚スープで、コクと風味が秀逸な王道の味わい。

 規格=1kg(約14食分)

 ●トレンドポイント

 「味噌ラーメンに強い平和食品工業」と定評がある同社で、14年の発売当初から売れ続けているのがコレ。芳醇な味噌感と濃いコクが特徴で、複雑な味わいのモツ味噌煮込みなどにもそのまま使えるほど、味がしっかりと完成されている。自家製スープで割ると、店独自の香り高い味噌ラーメンに仕上がる。「甘麹」と「生みそ」の健康キーワードは現代志向にマッチ。

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