お店招待席=「海鮮山鮮」東京・銀座 食事だけで入れる居酒屋

1995.04.17 74号 8面

夜の銀座、有楽町と言えば、夜空に浮かび上がる数々のネオンサインの中、ひときわ目立つ不二家のマークに象徴される。

このネオンサイン直下のクリスタルビル九階にあるのが「海鮮山鮮」だ。昨年11月、池袋に次ぐ第二号店としてのオープンである。

もともと東京観光グループが経営する「居酒屋おらんだ屋敷」の一チェーン店であったが、コンセプトを変え、「若い人がイッキ飲みをやったり、ワイワイガヤガヤと騒々しく騒ぐ雰囲気から、若い女性が気軽に入れ、食事をしたり、飲んだりができるアットホームな店」(武田晃営業本部課長)とした。

店内は、夜景が楽しめる窓に沿ってのテーブル席と、宴会もできる座わる席がカジュアルっぽいフラッグや絵などで演出され、厨房が眺められるカウンター席には、大皿と地酒が並べられ、居酒屋の雰囲気を出している。

「女性同士が、食事だけでも入れる店づくり」にしたというだけに、メニュー構成も女性を意識したものが見受けられる。

全体に和食を基本にしている中、海鮮グラタン(八五〇円)、山鮮グラタン(七三〇円)、チリジャーマンポテト(五八〇円)や、デザートに芋ようかん(三二〇円)、フルーツみつまめ(四〇〇円)、季節のくだもの(四八〇円)を置くなど居酒屋らしからぬ新メニューだ。

また、お酒のあとは焼おにぎりなどが定番だが、替わるものに五目茶そば(六〇〇円)、鯛茶づけ(五三〇円)、山海ちらし(六八〇円)を置き、女性に人気という。

「オープン時、女性をターゲットにすることは賛否両論でした」が、結果として「おらんだ屋敷」より売上げ三割アップとなった。

これは、「料理とサービス方式」が受けたとみる。

和食を基本とするだけに和の調理人五人に中華一人、アルバイト一人の厨房スタッフ。「食事だけの人を意識した上品な味を出し、しかも和にこだわらずメニューを創作できる頭の柔らかさが要求される」板前さんは、三〇代から四〇代前半までという。

ホールスタッフは、経験を無視しての採用だ。

「居酒屋で長く働いた人より、トレンチを持ったことの無いような人を、海鮮山鮮色に染め、思った内容のサービス」をしたいとする。

箸袋もあらかじめセットしておく、トレンチを使う、おしぼりを渡すなどは、居酒屋とは違った方式。また言葉づかいも威勢の良さがウリの居酒屋とも違ってソフトだ。

アルバイトも重要な戦力。目配り、気配りのできる三〇代も採用している。外国人スタッフが多く見掛けられる中、「国民性の違いから行き違いが起こり、お客に礼と失するようなことは避けたい」として、スタッフは、全員日本人。

年三回はメニュー替えをし、旬の味を出し、目先を変えているが、3月からの春メニューに、サンマから山女魚揚げ田楽(七〇〇円)、エシャロットと鮪のぬた(四五〇円)、アサリガーリック炒めをアサリ柳川(六〇〇円)などで季節感を出す。

「原価計算するほど値段に敏感な女性。一品五〇〇~七〇〇円止まり」にしたという。

ドリンクは、ビール、日本酒が七~八割、その他サワー類やワインが出る。料理六にドリンク四の割合だ。

「銀座では、この対比で良しとしており、最終的にはお客が決めることです。売上げアップも目標として大きく置きたいが、ウエーティングなどで迷惑をかけたりする。無理のない長い商売をやってゆきたい」とする。

《海鮮山鮮》

〈所在地〉東京都中央区銀座四‐二‐一二、クリスタルビル九F、Tel03・3567・3666

〈営業時間〉平日午後5時~11時30分、年中無休

〈店舗面積・席数〉六〇坪、一〇四席

〈従業員数〉一〇人、アルバイト一一人

〈客単価〉三三〇〇円

〈一日当たり来店客数〉一五〇人前後

〈平均月商〉一五〇〇万円

〈客層〉二〇代OLを中心に、男性ビジネスマン

〈人気メニュー〉アボカド山かけ、鳥蓮根せんべい、豚の角煮

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