クローズアップ現在:横丁が続々オープン 共通項は「クオリティー高いフード」「テーマ性」

2022.04.04 518号 07面
倉庫を改造した施設をイメージした「ガレーラ」の外観

倉庫を改造した施設をイメージした「ガレーラ」の外観

「新大久保韓国横丁」の店頭。周りは韓国の歓楽街のイメージ一色

「新大久保韓国横丁」の店頭。周りは韓国の歓楽街のイメージ一色

「新大久保韓国横丁」での週末の夜の様子。20代30代の女性二人連れでにぎわっている

「新大久保韓国横丁」での週末の夜の様子。20代30代の女性二人連れでにぎわっている

「小虎小路」の客席はすべて通路側に構成されてにぎわいが伝わる

「小虎小路」の客席はすべて通路側に構成されてにぎわいが伝わる

 昨年の暮れから今年の年初にかけて「横丁」が立て続けにオープンした。横丁とは飲食店が1店舗で営業するには広すぎるスペースに業種の異なる複数の店舗が集まり、にぎわいをつくることを狙いとしている。これまでさまざまな横丁がつくられてきたが、ここで紹介する東京の立川、新大久保、虎ノ門の事例の大きな特徴は、開発に際してのテーマ性があり、フードメニューのクオリティーがとても高いこと。月商レベルも高く想定されている。

 昨年12月、「GALERA Food Market TACHIKAWA」(以下、ガレーラ)がオープン。立地はJR立川駅北口から徒歩10分、飲食店と住宅が混在する場所で、2021年4月に閉鎖した「立川屋台村パラダイス」の跡地に建てられた。オーナーは東京都立川市に本拠を置く食肉卸業のミートコンパニオンで、同社の阿部昌史社長が地元立川を活性化させたいと構想を練った。このプロデュースを、立川をはじめ都内にカジュアルレストランを展開するMATHERSの保村良豪社長に依頼し、保村氏が交流のある主に立川で活動している飲食店経営者に声をかけて横丁をつくり上げた。

 倉庫を改造したイメージのガレーラは72坪の中に10店舗が出店、店ごとの間仕切りがなく205席を配している。各店舗の業種は専門性が高く、それぞれを磨き込んでいることからクオリティーは高い。各店舗にはお通しがなく、お客は各店での客単価1000円強でホッピングを楽しんでいる。週末にはランチタイムからディナータイムまで満席。月商は5000万円を想定。

 ガレーラと同時期、JR新大久保駅から徒歩10分の立地に「新大久保韓国横丁」もオープンした。経営するのはJDREXで17年4月に会社設立。金相勲社長は韓国・ソウルの出身で、都内の韓国料理店で働き、独立して韓国料理の「ホンデポチャ」を出店。新大久保店、職安通り店、池袋店、渋谷店、田町店と直営店を展開する。

 この物件は以前ネットカフェだったもので、1階120坪・327席、2階90坪・123席、総坪数210坪・総席数450席となっている。横丁を構成しているのは1階で、2階はカラオケルームとなっている。横丁には14店舗、全て自社が経営する韓国料理の専門店。客単価は3000円。客層は20~30代の女性二人連れがほとんど。1月の売上げは4000万円を記録した。

 今年1月には、東京・虎ノ門に「小虎小路」がオープン。再開発がドラスチックに進んでいる真っただ中のビルの地下1階の、以前地元の居酒屋が営んでいた130坪の中に12店舗を構成、総客席数248席となっている。

 同施設をプロデュースしたのは高橋英樹氏で「居酒屋甲子園」の2代目理事長を務めた人物。また昨年11月に誕生した「日本飲食業経営審議会」の事務局長に就任している。

 居酒屋甲子園とは「共に学び、共に成長し、共に勝つ」を理念として、「居酒屋から日本を、世界を元気にする」を目的とする全国的な学びの組織。2006年に結成されて以来、メンバーの結びつきは深まるばかりで、飲食業界に関わるさまざま企業がサポーターとなっている。これらを背景として「小虎小路」は、居酒屋甲子園公認の横丁となっている。

 横丁への出店者には高橋氏が直接アタックして招聘した。各店の業種がかぶらないこともさることながらフードメニューのクオリティーが高いことが条件とされた。月商は6000万円を想定している。

 (フードフォーラム代表 千葉哲幸)

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