乳業大手3社、6Pチーズ多彩に 需要底上げへ特色
チーズの総需要底上げへ、最需要期へ向けた提案が活発だ。特にポーションタイプの6Pチーズでは、明治、森永乳業、雪印メグミルクの乳業大手3社は差別化商品を投入。最需要期の秋冬シーズンへ向けて多彩なラインアップで売場活性化が期待される。昨今の物価高による生活防衛意識の高まりから、チーズ市場は調理用途への食指が強く動いており、直消用チーズにはアゲンストの風が吹いている。チーズ市場の活性化へ向けて、子どもから大人まで幅広いターゲット層を持つ6Pチーズの担う役割は大きい。(小澤弘教)
農林水産省が7月に公表した2022年度の「チーズの需給表」によると、チーズ総消費量は前年を5.3%下回り、3年連続の下落となった。ナチュラルチーズ(NC)、プロセスチーズ(PC)ともに数量面で苦戦したが、コロナ禍で加速した調理用途需要が根強く、NCではシュレッド、PCではスライスなどが消費を支える。
一方で、テレワークの浸透など在宅時間が増えたことで、おやつやおつまみといった「間食」需要も合わせて高まった。これまでオフィスなどではスナックやチョコレートなどの菓子類が一般的だったが、家にいることでチルド品のチーズを選択する人も増えてきているようだ。健康面でも評価が高く、子どもに与えるおやつとしてもギルトフリーなイメージが強い。
中でもデザートチーズは、22年度で金額・数量とも前年を上回って推移している。森永乳業はそうした需要にマッチしたスイーツ系チーズ「クラフト 小さなチーズケーキ」を展開しているが、今秋から「モンブラン」を数量限定発売する。イタリア産マロンペーストを使用し、本格感を演出。アイスの「PARM(パルム)」でも同様のフレーバー展開を行い、秋のフレーバーとしてカテゴリー横断で訴求する。
健康面での訴求も強まっている。雪印メグミルクは、「6P(ロッピー)チーズ」に「鉄分入り」を9月から投入。1個で1日分の3分の1の鉄分が取れ、子どもから大人まで食べられるマイルドな味だ。「愛チ~ズ!」を合言葉に、親から子へ世代を超えて受け継がれる日本のチーズとしての新たなコンセプトを強める。
「チーズの需給表」によると、22年度は輸入NCとの内外価格差の圧縮も一因に、国産チーズの消費量が増加傾向。加えて消費者の国産志向の強まりもある。
明治は「明治北海道十勝」ブランドから、北海道十勝産NCを60%以上使用した「同6Pチーズ」を9月1日から全国発売。6P売場の中で「国産」のメッセージ性を打ち出し、消費量の底上げへの貢献を目指す。











