話題の新フード:世界初の完全陸上養殖でアタらないカキが誕生!

2023.09.04 535号 14面
海洋深層水を活用した完全陸上養殖で生産された「エイスシーオイスター2.0」

海洋深層水を活用した完全陸上養殖で生産された「エイスシーオイスター2.0」

 食中毒のリスクが低いノロウイルスフリーの「あたらないカキ」が誕生した。一般の生食用カキは、ノロウイルス汚染を排除するために出荷前に紫外線照射水などによる浄化を行うのが主流だが、カキの体内に取り込まれたノロウイルスを完全除去するのは困難、とされていた。

 このほど誕生した「エイスシーオイスター2.0」は、太陽光が届かず表層の海水とも混ざらない水深200m以上の極めて清浄で水質が安定した海洋深層水を使って完全陸上養殖することで、ウイルス、細菌、貝毒のリスクゼロを目指す世界初の取り組みだ。海洋深層水は、沖縄県久米島の海洋温度差発電で使われる海水を二次利用し、持続可能な生産を見込んでいる。

 また、一般にカキの養殖は飼料コストが高く、45万個のカキを陸上養殖するには1日当たり約3000万円のコストが必要になる。対して、今回成功した完全陸上養殖は、海洋深層水の富栄養性と太陽光を利用することで自前の植物プランクトンが餌となり、低コストの生産が実現できる。

 「エイスシーオイスター2.0」は通常のカキと比べて殻に対する身入りが重く、甘味が強いのが特徴。通常のカキは100gで可食部は20g程度が標準的なのに対して、「エイスシーオイスター2.0」は60gほどが可食部となる。アミノ酸含有量も多く、栄養成分も高いという。現在、量産化に向けて年間45万個の生産を想定しており、今後は生産量年間数百万個を目指す。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら