眼をナメたら恐い! 眼はものを言い病気も教える

1995.10.10 1号 10面

「一〇一〇」。眉毛と眼玉が二つずつ、横から見ると英語の「アイ」の字も二つ混じっている10月10日は、「目の愛護デー」。

内臓に宿る成人病は「命に関わる」イメージがあるので結構皆気を付けてチェックするものだが、眼の病気というと「死ぬ訳ではないし…」と忙しい日常の中でちょっとくらい「変だな」と感じても軽視して専門医への相談が遅れがちになったりする。ところが、中高年層が最も気にしている糖尿病や高血圧は眼の病気に連動しているため眼の異常から生命の危機を発見できたり、発病からわずか一日適切な治療が遅れたために失明してしまう病気があるとも聞く。せっかくの眼の愛護デー、その辺りの知識を少し養って大病の早期発見に備えたい。

(答える人=帝京大学医学部・丸尾敏夫教授)

-中高年から起こる眼の病気というのはありますか。

丸尾教授 ありますね。大体眼科の患者というのは子供と中高年が多く、二〇~三〇歳代の若い人というのはケガ以外ではあまりない。トラブルが起きるのは、眼の成長期にある子供と老化が始まる四〇歳代半ば以降の人。その中高年層以上の眼のトラブルというと、まず誰にも起こる生理現象である老眼、具体的には水晶体が弾力を失ったために近い所のピント合わせができなくなる症状が起こる。これは予防はできません。自然の摂理と受け入れて適したメガネをかけうまく対応して下さい。深刻な問題ではない。

問題は眼球の中に宿る病気の方です。むかしはそれらをまとめて「そこひ」と言った。

大きく分けてこれには三種類ある。一つめは白そこひ、今でいう白内障で、水晶体が濁るために起きるありふれた病気。痛みはなく見えにくくなるだけなので自覚症状のない人も多いが、検査をすれば大体六〇歳代ならば六〇%、七〇歳代ならば七〇%、八〇歳代ならば八〇%の人が罹っていることが分かる。眼内レンズを入れるなどの手術をすれば見えるようになります。

-残りの二つのそこひが失明などにも発展する恐ろしい病気なんですね。

丸尾教授 そう。恐い物の一つが青そこひ、今でいう緑内障。眼球内の水の循環が悪くなり水が溜まり過ぎる現象で急性も慢性もありどちらも失明に発展する可能性があります。急性の場合は眼が見えなくなるだけでなく、吐き気がする、頭痛がするなどの症状を伴う。だから消化器系の病気かと勘違いし近所の医院でその治療をしているうち日にちがたち、手遅れになってしまうケースがあるのです。

一週間適切な治療をしなければ確実に失明です。慢性の場合はジワジワと知らない間に視野が鼻側(耳側の反対)から狭くなる。徐々にだから自覚症状がない場合が多いが、放っておけば長い間に失明につながる。一年ごとの検診などでキチンとチェックすることが大切です。

三つめの黒そこひ、黒内障は眼底の病気を総称していいます。瞳孔は普通の人と同じで、外から見て分からない、また痛みもないのに、ただ見えにくくなるというのが症状。原因として眼自身が悪くて起こるものと、糖尿病、高血圧、動脈硬化など全身の病気から起こるものの二つがある。いわゆる糖尿病網膜症、静脈閉塞症などの眼底出血です。これらの場合も内科の治療を優先させているうちに失明につながってしまうケースが多い。いくら命があっても、物が全く見えなくなってしまったらどれだけ生活が不自由になることか想像がつくでしょう。

-そうならないよう、中高年層が眼の健康を維持するための生活チェックポイントを教えて下さい。

丸尾教授 まず全身の健康管理をしっかりする。バランスの良い栄養摂取、塩分の取り過ぎ抑制などを心がけ、高血圧、糖尿病にならないようにする。昔は眼の健康のためにビタミンAが豊富なヤツメウナギを食べましょうなど言ったものだが、現在はビタミンA欠乏や栄養失調による鳥目の人なんてまずいない。非常にレアケースです。食生活においてはそうした特定の食品に注目するより、バランス良く多品目取る方が大事。眼に関心を持って定期検診を受けることも大切です。とにかく眼がおかしいなと思ったら眼科に来て下さい。

深刻な眼の病気だけでなく、老人性の下がったまぶた、逆さまつげ、涙目なども手術で簡単に治ります。せっかく進歩した医学技術があるのだから、こういった治療を積極的に受けてサッパリとした表情を保ち、美しい物を見ておしゃれに快適に長生き人生を楽しみたいものですね。