家族の思い出を明日に「カルピス」85年、愛され続ける理由は変わり続けるから

2004.05.10 106号 9面

一九一九年7月7日の七夕に「カルピス」は誕生。以来、世代を越えて愛され続け、今年で八五周年を迎える。ロングセラー商品として支持され続ける「カルピス」の長生きの秘訣と魅力を探った。

●「カルピス」誕生

カルピス(株)(東京都渋谷区、電話03・3780・2122)の創業者三島海雲は一九〇八年、モンゴルの地で乳酸菌を発酵させた“酸乳”を飲み、弱っていた体調が良くなった。この体験から、人々の“心とからだの健康”に貢献するため一九一五年に帰国、酸乳をヒントに日本初の乳酸菌飲料「カルピス」を発明した。

●長寿の秘訣

八五年の間「カルピス」は、カルピス酸乳の発酵乳としての普遍的な価値をそのままに、甘味、後味などの味覚やパッケージなど、時代のニーズに合わせて変更してきた。家族のために好みで作れる手作り感で、家族だんらんを演出。変わらない魅力の“おいしさ”“安心”“健康”“心のふれあい”“経済性”が世代を越えて愛され続けるロングセラーの秘訣だ。

近年では、カルピス酸乳の三〇年余りにわたる健康効果を解明する研究から、血圧降下作用のある「ラクトトリペプチド(LTP)」を発見。「アミールS」(特定保健用食品)などの商品も生まれている。商品の長寿は、人々の健康長寿にも貢献している。

●百歳商品に向けて

八五周年に合わせて、今回味を改良。爽やかな風味はそのままに、より後味をすっきりさせた。パッケージは、ダイナミックな半円をモチーフに躍動感と高級感を感じさせるデザインに変更。夜空を想わせるデザインは、「カルピス」の水玉模様のルーツである天の川をイメージさせる。

新しいイメージキャラクターには、トータス松本を起用。まずは、一九二二年(大正11年)に新聞広告で使用して以来代名詞となっている永遠のキャッチフレーズ“初恋”を使用することで、懐かしさと新鮮さをアピール。今後の展開ではトータス松本が、父親役で登場し、新しい家族像を演出する。また、「あしたの思い出。」をテーマに、家族で「カルピス」を囲みながら過ごせる「カルピストランク」のプレゼントキャンペーンを5月末まで実施。一大イベントとして、福岡から札幌まで主要都市六カ所を回る「カルピス飲ませ隊全国キャラバン」を実施。水玉デザインのキャラバンカーで全国を縦断し、一〇万人に新しくなったカルピスをサンプリングする。

今後の九〇周年、一〇〇周年に向かってますます新鮮さを発揮しながら“家族の思い出の味”を継承し続ける商品として長生きし続ける。

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