聞いて効いて:発芽玄米、高脂血症を伴う血糖異常に有用
糖尿病になると、身体を守る免疫機能が低下して血管系がもろくなる。そこで気をつけなくてはならないのが合併症。血中コレステロールが高いなど脂質代謝異常を併発すると、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞などにつながりやすい。
血糖コントロールの糖尿病食事療法に役立ち、合併症予防にも有用な主食として、発芽玄米を使った研究成果が11月5日、国際コメ年記念「世界イネ研究会議」(つくば国際会議場)で発表された。
発表したのは、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部の山本茂教授。「発芽玄米を主食とした食事を継続することにより、空腹時血糖値は改善され、糖尿病の治療および合併症予防の一助となる可能性がある」と述べた。
臨床試験は、高脂血症を伴う空腹時血糖値が高い(空腹時血糖値=一五二・八±三〇・一mg/dl、HbA1c※=七・七±一・〇%)男性六人・女性五人を対象に、発芽玄米あるいは白米を主食とした食事を各六週間ずつ交互に続ける交差試験で検証。それによると、発芽玄米摂取期間で空腹時血糖値・HbA1c・血中コレステロール値とも有意な低下を見たという。
※HbA1c=ヘモグロビンエーワンシー。過去約一二〇日間の平均的な血糖値の状態が分かるため、糖尿病の状態判定に用いられる。六・五%以上の場合、糖尿病と判定される。