ザ・ニッポン地方発 ふっくら酸っぱい新梅干(横浜)

1996.09.10 12号 17面

ふっくらとしていて、味わいのある自家製の梅干を送ってくださる、横浜の友人、“梅干姉さん”の園田さんからお誘いを受けて夏の午後にお邪魔した。

一本の樹から六~八キログラムもの実がとれるが、摘果の時期が難しい。通常6月下旬に果実を収穫するが、早すぎると出来上がった梅干が硬くなり、遅すぎるとグチャグチャになってしまう。二~三日の差が大きく影響する。収穫した梅は洗ってから瓶に漬け込むが、塩は天然にがり入りの天塩を一五%使って、通常の二〇%より塩気を抑えている。そのかわり焼酎を少量使って風味の向上と鮮度を保持する。

土用の頃にザルに並べて三日三晩日光に当て上手にシワを作る。天気予報には随分注意をして干す日程を決めるが、万一天気が崩れたら大変。大急ぎで瓶に戻して天気の回復を待ち再び干しに入る。

“梅干ばあさん”の本当の意味を調べて見たら、毎日のように梅干を上手に食べて元気で長生きしているシワのきれいなおばあさんのことだった。主としてクエン酸は人間の寿命を延ばしてくれる働きがあり、上手に活用すれば老化防止に役立つ。間抜けとケチは酢を飲まない。酢の嫌いな多くの男性は寿命を縮めているといわれる。

梅から出た梅酢も健康によいので、ちらし寿しの合わせずや、酢のものに少量加えて使うと、心臓病の予防の血液をさらさらにする役目をする。昔の文献に「峠の梅干」として旅人が峠越えをする時には必ず梅干を口に含んだくらい疲れを防ぐ。厄除けの力もあり、危険な目にも遭わないと信じられていたと書かれている。

(自然食料理人・田村匡世)

●アジの梅肉はさみ焼き

◇材料=アジ中4本、梅肉50cc、玉ネギ50g、にんにく小1/2片、ネギ20g、しょうが10g、生トマト50g、オリーブオイル30cc。

◇作り方=(1)アジは頭と内臓を取りきれいに洗って水気をとり三枚に下す。背の側を開いて軽く塩をする。(2)梅肉、玉ネギ、にんにく、ネギ、しょうがはみじん切りにする。トマトは皮をむき種をとりみじん切りにする。(3)(2)をボールに入れオリーブ油を加えてよくまぜる。(4)アジの上にのせて、230度のオーブンで7分焼く。※ソースは沢山作って冷蔵庫に保管し、魚、肉、豆腐にも応用して使える。

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