ようこそ医薬・バイオ室へ:美肌・風邪予防に加湿器&豆腐チゲ鍋
先日、義父が風邪を引き病院へ行くと、「加湿器を使った方がいいですよ」と言われた。空気が乾燥して喉の粘膜が弱くなると、インフルエンザウイルスはもちろんのこと、風邪ウイルスも侵入しやすくなるので、うがいやマスクと同じように加湿器は風邪予防に重要なアイテムだ。
わが家の場合には、風邪を引きやすく「脂症だけど乾燥肌」の私のためというよりも妻の肌とピアノのために冬になると加湿器がつけっ放しになる。この間も長年使っていた加湿器が壊れたので、すぐに「アキバ」に出かけて行った。妻が買いに行くとデザイン重視で選んでしまうので、かなり不安であったが、案の定ドーナツ型をした不思議な形の加湿器を買ってきた。最近は空気洗浄機能付きの加湿器など、さまざまなタイプのものが出ているが、わが家のものは電源ボタンも湿度調節も何もなく、コンセントを入れると水蒸気が出るという至ってシンプルなもの。ヤカンでお湯を沸かしているのと変わらないものであった。
まあ、それはさておき、理科の復習になるが、「湿度」といっても「絶対湿度」と「相対湿度」の2種類がある。「絶対湿度」というのは「空気 1kg中に含まれている水蒸気の量(グラム)」を表す。普段われわれが「湿度」と言っているのは「相対湿度」の方で、「ある温度の空気が最大限に水蒸気を含んだ状態を100%とし、そのうちの何%分の水蒸気が含まれているか」を表す。
そして、ややこしい計算は評判が悪いので割愛するが、夏の盛りの35度Cで湿度80%というと絶対湿度は31g/kgになる。一方、真冬の寒い時の気温が5度C、湿度20%という時は、絶対湿度は約1g/kg。湿度80%と20%の違いなので、冬は夏よりも水蒸気が4分の1少ないのかと思っていると、実はなんと絶対湿度では30分の1も乾燥しているのだ。これだけ乾けばウイルスも元気に飛散して、人間に侵入できるわけなので、加湿器は必需品だ。
さらに、人が快適と思う冬季の気温は20~22度C、湿度は40~60%といわれるので、加熱して温度を上げてやるエネルギーよりも加湿するほうがはるかに省エネになる。室温の方は、エアコンだとどうしても乾燥するので、やはり「アキバ」でデザイン重視のパネルヒーターを購入して、1日妻はその前を離れない。ついでに、扇風機も夏冬大活躍で、天井に向けて首を振って、空気のかく乱に精を出している。
ところで、韓国は日本よりも気温が低く(東京の平均気温は15・9度C、ソウルは12・8度C)、当然湿度も低いはずだが、韓国女性の肌がきれいなのはキムチと緑黄色野菜のおかげと以前テレビでやっていた。韓国旅行から帰ってくると皆肌が若返っているらしい。トウガラシに含まれるカプサイシンの作用で発汗とともに出る適度な油脂が肌を乾燥から守り、緑黄色野菜のビタミンが肌細胞のターンオーバーを活発にするという。
そういえば、キムチ豆腐(冷奴にキムチを乗せたもの)で肌がきれいになるという噂も聞く。カプサイシンだけでなく、豆腐に含まれるイソフラボンが女性ホルモン様に働く効果もあるのかもしれない。つまり、自宅で豆腐チゲ鍋を食べれば、室内湿度は上がり、美肌効果もあり、風邪も引きにくく、一石三鳥だ。加湿器と豆腐チゲ鍋でこの冬が乗り越えられそうな気がしてきた。
(バイオプログレス研究所主宰・高橋清)