注目の「天然抗酸化食品」ゴマを語る 「最後に行き着いた食材」胡麻屋・宮川料理長

1997.03.10 18号 3面

ごまは種子を食べても、油ででも、抗酸化物質をとることができる。セサミノールがとくに多いのは、生搾りのゴマ油。また、油を搾ったごまの粕にも、食べると腸内細菌によってセサミノールに変わる物質がある。さらにごまには肝機能を高めるといわれるセサミンという物質もある。これらはリグナン化合物と呼ばれ、他の植物には見られない、ごま特有の物質だ。ごまあえ、ごま豆腐、天ぷらなど、工夫して毎日一〇gくらい食べるとよい。おいしいごま料理をつくるコツを、『胡麻屋』料理長の宮川光久氏にきいてみた。

中華料理で名高い横浜の四川飯店で、一二年間料理長を勤めた宮川氏。中華を究めた男が、和の精進料理を学び、最後に行きついたのが、ごまという食材。

「中華・薬膳料理というと、特殊な材料を使った高級料理というイメージがあるでしょう。ところが、ごまは日本人にも身近な漢方食材。おいしくて、身体によい、スグレものです」。

メニューには一〇種のごま料理がある。「ごまはそれ自体が主役とはなりえない。それだけに、いかに食材とマッチさせるかがポイントです」。和え物、天ぷら、たれ、…いずれもごまをふんだんに使いつつ、素材を生かした、和中折衷のオリジナル料理だ。

ごまの発祥は、六〇〇〇年前のアフリカ。古くから不老長寿の妙薬とされてエジプトで栽培が始まり、その油は防腐剤としてミイラ造りに使われていた。

世界中で食べられているが、皮つきごまを食べているのは日本や韓国などごく少数の国だけ。むきごまは消化がよいので、最近では皮をむいたむきごまを食べる国が増えている。

「ごま油は、他のサラダ油に1/2~1/3程度加えるようにするのが上手な使い方。他の油も酸化しにくくなり、経済的です」。おいしさの秘訣は煎りたて、すりたてを使うことに尽きるという。「できあいの惣菜を食べるときでも、煎る手間、する手間だけは惜しまず、ご飯やおかずにパラパラと散らすだけで、最高においしい栄養満点の愛情料理になりますよ」と宮川氏。

小さなごま粒は、名料理長にとっても、忙しい主婦にとっても大きな味方だ。

東京都世田谷区桜新町一の二一の一五 Tel03・5477・7887

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