百歳への招待「長寿の源」食材を追う:「漢方薬茶」

1997.03.10 18号 14面

日本や中国では、伝統食品の見直し人気が高い。日常の生活にとけ込み食べやすく長寿効果は大である。

(食品評論家 太木 光一)

今やヘルシーブームも定着し、健康を考えない食品や飲料の売れ行きは鈍りがち。この中で、健康茶(薬茶)は若い女性層に人気で、トレンディーな飲み物と変わってきた。

中国では予防・治療・滋養・保健を目的として薬茶が流行し、種類は八六〇種と多い。日本に紹介されているものは一部にすぎない。これからも新しい薬茶が次々と紹介されよう。

日本で一般的となった漢方薬茶をみると

(1)枸杞茶 枸杞は中国で古くから漢方薬材とされ、中国各地に分布する。葉・茎・根・花・実のすべてが利用できる。葉は山菜として煮物や天ぷらに。炒めて食べたり、スープにも向く。

枸杞茶用の葉の採取は6~7月ごろが最適。茎葉を刻んで、天日に干し、十分乾燥すれば出来上がり。市販もされている。枯れ草の香りを残したコーヒー色の茶で、意外と飲みやすい。

成分的にはビタミンと必須アミノ酸が多く含まれ、常飲していれば疲労回復ばかりでなく、肝臓・腎臓の働きを助け、視力を良くし貧血やめまいにも効果がある。この根の皮をはいで乾燥したものは地骨皮とよび、血圧降下・血糖降下・解熱作用などの効果がみられる。中国人はお茶代りに飲用している。

またハブ茶やハトムギ茶とまぜて飲むと、一段とマイルドな味となり、飲みやすく薬効面でも高まる。

(2)杜仲茶 中国原産の落葉高木で、日本では人気が高い。杜仲茶には葉と、樹皮を砕いて乾燥させたものの二種類がある。最近ブームとなった杜仲茶は茶葉を焙煎したもので、血圧降下作用とわずかのミネラルが含まれている。薬事法の関係で、成人病予防に効くとはうたえない。他の健康茶より味がよく飲みやすいのが特徴。

漢方でみる杜仲は、樹皮のみを指す。これは薬効が極めて大きい。その特徴は、第一に降圧作用が大で、動物実験でも卓効がみられる。第二に利尿作用のよいことである。第三には高血圧患者に使用した場合、患者の頭痛や失眠などの症状によいことがあげられる。

杜仲は高貴薬でなく庶民性が強い。価格も安く入手容易。漢方薬の中では重要薬材ではないが庶民の味方である。中国では四川・陝西・湖北・河南産が薬効面で優れ、日本国産は大分差があるようだ。

(3)甜茶 最近ブームとなっている薬茶である。中国南部雲南省に自生する、バラ科の植物の葉から作った茶である。甘いお茶の意味で甜茶とよばれている。4~5月ころの嫩葉を摘み取り、もんでお茶にする。

この成分にポリフェノールがあり、のどの炎症を抑える作用や抗アレルギー作用があることが判明した。特に花粉症に苦しむ時に効果ありとして、一挙に人気が集中した。

甜茶ティーバッグが販売され、人気も急上昇。後発メーカーもブレンド甜茶やゼリー・タブレットやキャンデーを発売、市場は拡大中。開発競争が活発化すると思われる。

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