食中毒の予防・回復に梅干しを 梅研究会理事長・松本紘斉氏

1997.05.10 20号 16面

「人間の身体は毎日の食べ物が形を変えたもの」という持論を持つ松本紘斉さん。二一年続く早朝ラジオ番組の「ヘルシートーク」などで知られる同氏に、梅の効用と梅を上手に取り入れて健康になる方法を聞いた。

現代人の悩み解消

--梅が身体に良いことは一般に知られていますが、具体的にどのような効用があるのか教えてください。

松本 私ども梅研究会では梅や梅肉エキスの効用を科学的に証明しようと、大学の研究機関などに依頼し、二十数年にわたって研究を続けてきました。これまでの研究成果から、①アルカリ性による血液浄化②細菌・ウイルス・体内の老廃物などを食べる免疫細胞の活性化③カルシウムの吸収率を高める④ガンの予防⑤疲労回復⑥肝機能の強化⑦血圧安定・結石予防⑧胃腸の活性化⑨殺菌効果⑩痩身・美容効果(11)抗アレルギー作用--などの効用が明らかになっています。

--現代人特有の悩みがすべて解消という感じですね。

松本 そうですね。私の持論は「人間の身体は食べ物が形を変えたもの」ですから、身体に良くないものを極力避けて、良い食べ物を積極的にバランスよくとってほしいとお話しています。その中でもこれだけのすばらしい働きがある梅は毎日取らない手はないですね。

--普段の食生活の中に手軽に梅を取り入れる方法を教えてください。

松本 まず梅干ですが、酸っぱい梅干を食べて欲しいものです。最近では食べやすいように味付けした「調味梅干」が主流になっていますが、本来、梅干はクエン酸などの有機酸を多く含んでおり、その酸っぱさが身体にいいんです。

そして、梅パワーの結晶である梅肉エキスがあります。これは青梅の果肉をすり潰し、その搾り汁だけを長時間煮詰めたもので、青梅一kgからわずか二○gしかとれませんが、それだけに梅の有効成分の結晶で、だからこそ効果があります。

--梅料理もたくさんあるとのことですが、家庭で手軽に作れるおすすめ料理をいくつか挙げてもらえますか。

松本 梅干を入れて炊いた「梅ごはん」は酸っぱさもやわらいで食べやすく、酸っぱいものが苦手な人でもおいしく召し上がれます。これはおにぎりにしてもいいですね。また、梅肉エキスとハチミツを水かお湯でといた「梅肉エキスジュース」や、お子さんには梅肉エキスとハチミツを寒天で固めた「梅肉エキスゼリー」などもおすすめです。

--6月1日を「梅の日」に制定されていますが。

松本 もうだいぶ認知されてきましたが、①梅の良さを知ろう②梅の良さを取り入れよう③梅の良さを広めよう--という三つのスローガンを掲げています。一つ目は私たちが研究してきたことを発表していますのでそれを知っていただきたい。二つ目は梅を食べてくださいというお願いなんです。日本人で梅干が身体に良いことを知らない人はいないと思いますが、毎日食べている人はほとんどいません。平均的な人で二○日に一個と言われていますが、それではあまりにも少なすぎます。もっと酸っぱい梅干や梅肉エキスを食べたり飲んだりして欲しいというお願いです。毎日、一ヵ月も続けますと身体が快調になってくるのが分かります。三ヵ月も続けるとめちゃくちゃ元気になります。三つ目に言っているのは、そういう体験をしていただいて、それを大勢の人たちに教えてあげてくださいということです。

--これから夏に向けて食中毒にも気を付けないといけない時期になりますが。

松本 酸っぱい梅干や梅肉エキスは食中毒の予防にもなります。特に梅肉エキスは梅の有効成分の固まりですから食中毒になってしまった人でも少量飲むだけで症状を抑えることができます。先日も旅先の中国で食中毒になった人がいて、梅肉エキスを六gほど飲んでもらったら、二時間ほどでよくなられました。ただ、食中毒になってしまってからでは大変なので、普段から食べていればかからないで済みますから、予防の意味で毎日梅肉エキスを取り入れて欲しいと思います。

体質が変わる!!

--食中毒を予防できるということは、梅肉エキスの成分が身体に蓄積されるということでしょうか。

松本 成分が蓄積されると言うよりは、毎日梅肉エキスを取り入れることによって体質が改善されるということです。言ってみれば「健康の蓄積」ということでしょう。毎日続けることで病気や食中毒にかからない健康な身体がつくられるということですね。私は出張が多いので粒状にした梅肉エキスを持ち歩いて毎日飲んでいます。お酒を飲む前にこれを飲んでおくと悪酔いしないし二日酔いにもならないんですよ。

梅の日に向けては梅料理の講習会や梅の実をとるツアーなども企画しており、「梅の日」を啓蒙普及していきたいと思っています。

●プロフィル

一九三七年岡山県生まれ。七一年、二代目松本紘斉を襲名、梅の研究ひとすじの生活に入る。日本全国、海外での講演、テレビ・ラジオ出演、著作活動などを通じて、梅の学術研究・啓蒙普及に専心している。

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