燕龍茶ストーリー ふるさとははるかシルクロード

1997.07.10 22号 20面

燕に龍のお茶と書いて「燕龍茶」(ヤンロンチャ)。健康志向の人の間で知られていたこのお茶が最近、大手缶飲料メーカーの自動販売機に登場した上、テレビのCMでも見かけるようになった。いま、注目度ナンバーワンのこの飲料、いったいどんなお茶なのだろう。

燕龍茶の原料は羅布麻という中国の野生植物。名前の由来は、あの探検家スウェン・ヘディンが「さまよえる湖」と呼んだはるかシルクロード、タクラマカン砂漠のロプノール湖(羅布泊)から。

羅布麻は荒れ地や塩分の強いアルカリ性土質に、たくましく自生する。自生なので当然農薬は使われていない。緑茶やウーロン茶など栽培するお茶とはこの点が根本的に違うようだ。

中国では、羅布麻が自生する地域の人々は長生きだという話が民間伝承で伝えられてきたが、本格的研究は一九七〇年代初頭に開始された。それにより、高血圧、動脈硬化、血中脂肪、喘息、免疫機能の改善や鎮静、それらの予防作用に加え老化を遅らせる作用があることが証明周知され、「中国薬典」に掲載された。

しかも、一九九〇年には、お茶の形態のまま、薬としての製造許可を得るに至ったのだ。中国の数ある健康茶の中で国から薬として認められているものは、このお茶をおいて他にないという。一方、日本でも富山医科薬科大学や北海道医療大学などの研究により、高血圧や血中脂肪の降下が次々に実証された。愛飲者からはアトビーが改善したという声まであるという。

さてそこで燕龍茶だ。これはその中国の羅布麻茶を「飲みづらいものは長続きしないし、健康を志向するなら品質に細心の留意を」という発想から日本で再度焙煎し直したもの。何だか実に生真面目なのだ。

商品は自分で煮出すティータイプのものと、缶飲料がある。味は渋味がなく口当たりのやさしいすっきりとしたものだ。ノンカフェインでしかもミネラルを豊富に含んでいる。 燕龍茶の「燕」は北京を、「龍」は中国を意味する言葉。飲料界の超大物「烏」の龍と書くウーロン茶のように、個性とロマンあふれる「燕」も飛躍していきそうだ。

暑い日の午後、街角の自動販売機で燕龍茶を買ってみた。ヘディンが砂漠で風に吹かれながら見たであろう野生植物に思いをめぐらしながら、清冽なしずくを喉に流しこんだ。

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