飽食の裏側-食の再点検:植物油物語=油 基礎編

1997.08.10 23号 19面

油はなるべく控えるようにする、オリーブオイルは身体にいい、いやブドウのオイルの方がもっといいらしい、と油についての噂は次々と飛び交う。なるほど、油売場には棚を埋め尽くす勢いで多種の商品が並ぶ。

では油のどの種類は控えた方がいいのか、またどの成分がどんな働きをするのか、種類が増えた分だけ情報もハンランしているようだ。まずはその種類から検証してみよう。

油は植物性油脂と動物性油脂に大別できる。種類が多く、家庭に馴染みが深いのは植物性油脂。一般的に「アブラを買ってきて」と言えばサラダ油など植物性油脂を指すだろう。ではその種類だが、コーン油、オリーブオイル、ブドウオイル、ごま油、などはその名称だけで何から抽出されているかが分かる。つけ加えればサンフラワー油はひまわり油、サフラワー油は紅花油。ではサラダ油、天ぷら油と銘打った商品は? 実は両者とも基本的にはなたね油と大豆油を調合したもの。その違いはJASの品質規格に基づいている。

単純にサラダに最適なのがサラダ油。低温でも固まらない、そして無色、無臭、新鮮な風味に持続性が特徴だ。さらに加工品ではマヨネーズやドレッシングなどに使用されるので品質が変わらず酸化しにくいことが求められる。その分原料の選別や精製の過程により注意が払われ、十分に不純物を取り除いてある。一方、天ぷら油は揚げたてを食べると想定され精製されているので、サラダ油より磨かれ具合は劣る。熱に強く香りがよいのが特徴。より香りを増すためごま油を加えている商品もある。

数種の油を掛け合わせばそれぞれの長所を生かした優れた性質の油が出来上がる。最近では使用量が従来の半分、こげにくい、はねない、という商品も出てきた。商品ボトルにはどの種類の油が調合されているかの表示がされている。次回はそれぞれの飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸といった成分を検証しよう。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら