滋味真求:周富徳の「王宮茶房」 本物の新鮮・出来立て飲茶
中国料理界のスーパースター周富徳さんがこの秋、満を持して、本格的飲茶の店をJR大宮駅構内の「ルミネ2」にオープンした。周富徳さんは四年ほど前、大宮駅西口前の「大宮アルシェビル」五階に、埼玉県で初めての本格的廣東料理店「王宮」を開店したが、地の利を得て大盛況。その余勢をかって同ビル八階に結婚式場もある大宴会場「王宮ロイヤルホール」をオープンしたが、これも五階の店同様、盛況裡に運営し、いまでは埼玉県というよりは首都圏随一の大中国料理店へと成長した。
現代日本の中国料理界にあって、もっとも活きのよい料理人である周富徳さんならではの快挙であろう。しかしもっと簡単に本格的廣東料理を味わってもらいたいという趣旨から、このたび点心、つまり飲茶の店「周富徳の王宮茶房」オープンの運びとなった。
埼玉県の大宮などというと「だ埼玉」などと悪口をいう向きもあるが、それは現状を知らぬ者のざれ言で、大宮駅は東北、山形、上越、長野の各新幹線、そして埼京線、京浜東北線と網の目のような交通網の中心にあり、平成12年には旧大宮操車場跡地に一八省庁が出揃い、名実ともに関東地区の要として新宿副都心以上の発展を望める地域である。現に大宮駅の毎日の乗降客は、新宿駅の利用者数をはるかに超えているらしい。
さて飲茶の話に戻ろう。ここのところ大手通販業者が香港や台湾物の販売を手がけたり、また街場の中国料理店も飲茶の看板を掲げているが、全部とはいわぬが現状は冷凍物が主役。まあこれも我が国の食文化の一翼を担ったことはよしとするが、どうも冷凍物の飲茶はいただけぬ。以前香港で食べた飲茶があまり旨かったので、みやげにしこたま買い込んだが、帰国の機内、道中とゆられにゆられ、家にたどり着いた時は、もうどうにもこうにも食べられた代物ではなく閉口したことがある。
飲茶は新鮮な出来たてが旨いものである。その点「王宮茶房」の点心は、全部新鮮な手作りで、毎日目と鼻の先にある王宮本店の厨房から新鮮な食材や出来たての点心、焼き物が届けられ、香港より招聘の点心専門調理師が腕を振るうわけだから旨いのは納得できる。
時々御大の周富徳さんが陣頭指揮で点心、焼き物の販売をしているので、買い物客はびっくりしたり喜んだり。なんとも賑やかで楽しい店が出来たものである。店内は焼猟(焼き物)や点心類を販売している売り場と、四○席ほどのテーブル席とがあり、帰りがけのお惣菜、おみやげの買い物、小吃(おやつ)や軽いお食事に最適である。
小篭包五○○円。ニラまんじゅう五八○円。肉まん、餡まん各二○○円。えび蒸し餃子五八○円。スープチャーハン五八○円。牛バラかけご飯五八○円。周ラーメン五八○円。葱油湯麺チャーシューネギそば八五○円と点心類は良心的価格で設定されている。焼き物は鴨の燻製、チャーシューなど各種取り揃えられている。
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営業時間・午前10時~午後20時。住所・JR大宮駅構内ルミネ2(一階)。電話048・641・8377