ヘルシー企業の顔:カンロ・國重社長

1998.03.10 30号 16面

カンロといえばあまーいカンロ飴--のイメージが強いが、この会社、実は様々な健康訴求の食品を発売している。また、なんとなく太るという感じのする砂糖菓子も本当は頭と身体をヘルシーに維持していくために大きな力を持っているのだという。飴菓子の老舗企業社長に、そのあたりのところをじっくり聞いてみた。

やはり、企業として食べるものを扱っていく以上は、消費者の方々の健康に少しでも貢献できれば、という考えがあります。それが我が社のポリシーですね。お菓子という分野の食べ物も、健康を促進するとか身体に良いものでなければダメであることは常識になりました。

飴菓子をやっている者として強調したいのですが、もともと甘いものは人間の身体にいろいろとメリットを与えてくれるんですよ。これは医学的に証明されています。特に勉強とか調べものとかの頭脳労働を集中してやるとすごくカロリーを消費するのですが、そういう時に甘いものを食べると疲労がとれることが分かっています。お腹がすいたけれど、まだ食事ができないという時にも役立ちます。カンロ飴一つ召し上がっていただくと当分、空腹感がおさまります。

いまは、甘いものをとると太るという考えがはびこっていて砂糖を敬遠する人もいますが、これは誤った知識です。一番問題となるのはやはり脂肪分でしょう。アメリカのFDAでももう二○年来、一日砂糖を小さじ三杯使う人、使わない人を比較した実験をしデータを重ねているんですがその結果、砂糖は決して肥満の元凶じゃないことが証明されています。もちろん何でも過度にとればその限りではないですけれどね。

ほっとしたいな、という時、飴玉を一つ舐めると頭と気持ちがとても弛緩する、これは科学的事実です。最近、暴力でイライラのストレスを発散する子供がたくさん出てきているのは、砂糖をあまり食べないせいじゃないかと思います。

健康路線の方向性をさらに積極的に打ち出したのど飴を発売したのは二○年ほど前です。飴はもともと喉にいいものですが、さらに効果が期待できる薬草、いまでいうハーブですよね、これをプラスしてみようということになって。オーストラリアのコアラの大好きなユーカリのエキスを活用しましてね。いまでこそユーカリが喉をすーっとさせることを皆さんに知っていただけましたが、当時は非常に新しい発想でした。

それからいろんな時代や季節にあったハーブキャンディーを開発してきました。去年の1月から花粉症対策に向けた「花鼻迷惑」という商品を発売しました。楽しい名前でしょう?実質ももちろんだけれど、お菓子というのはそれプラス楽しいネーミングも必要じゃないかと思います。

飴という商品を越えた健康に役立つ食品の開発も手掛けています。こちらはオルナックという会社名でね。えっ、どういう意味かって? これは健康とか元気とかいう意味で--というのは冗談。KANROをさかさまにしてORNAK。これも遊び心です。

この分野では、「春宇金」(春ウコン)という商品が好評です。インド原産のウコンは室町時代に中国から沖縄に渡った植物。その後琉球王国で専売制度をしいて民間に作らせなかったそうです。そのくらい健康に寄与する貴重なものというわけで。これを取り上げたのは、現会長の学生時代からの友人である薬草研究家との出会いがきっかけでした。

いま健康ブームでいくつかの会社からウコン製品が発売されていますが、当社の商品の特徴はまず春ウコンを使用しているということ。五三種あるウコンの中で代表的なのが春ウコンと秋ウコン、それにガジュツの三種。ウコンの身体に作用する代表的な有効成分として、肝臓の脂汁分泌を促すクルクミンをはじめ、健胃・整腸に有効なシネオール、動脈硬化予防のクルクメンなどがあります。中でもいま最も話題の成分は春ウコンにしか含まれていないクルモールです。これらはターメロンなどと同じ精油成分であり、ミネラル類との相乗作用で身体に有効に働くわけです。で、そのバランスが最もとれているのが春ウコンなのです。

また、当社製品はドリンク、錠剤の形にしております。これも大きな特徴ですね。錠剤の方もフリーズドライという凍結乾燥製法で処理していますので、ウコンの皮ごとの繊維質もミネラルも、それらすべての良い成分を丸ごと製品化できているわけです。

私自身の健康維持作戦ですか。

あまり神経質になってややこしく考えない方ですが、しいて言えば出されたものは何でも食べるということ、それから夜の9時以降は物を食べないということくらいでしょうか。付き合いの席でも9時以降は飲物は口にすることはあっても一切食べませんね。これをやるようになってから体重は六五㌔でずっと維持しております。もう一○年くらい変わりません。まあ、健康が一番の取柄の人間です(笑)。

当社は、飴玉から健康食品までいろんな物を手掛けているわけですが、その一つ一つが少しでも皆さんの心と身体を癒すように、また子供たちに夢を与えるようなことに貢献できれば最高だと思っています。

昭和12年6月23日、山口県生まれ。昭和35年法政大学卒業、カンロ(株)入社。以来、営業畑一筋で各地の支店長を歴任後、昭和59年取締役総務部長兼経営企画室長。平成5年取締役副社長、平成6年代表取締役社長、現在に至る。

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