自由時間術 「吹き矢」で健康としあわせ気分

1998.04.10 31号 5面

「吹き矢」なんていうと戦国時代の忍者がぷっと吹いていた武器を想像してしまうが、いまこれが健康法を軸にした新スポーツになりそうだという。今月発足した全国組織「日本スポーツ吹き矢協会」の顧問、パシフィックウエスタン大学・神津健一教授になぜこれが身体に良いのか、聞いてみた。

スポーツ吹き矢で使う用具は、五○~一二○センチの木製の細長い筒と二○センチほどのプラスチックの矢。これをウレタン製の柔らかい的に向けて飛ばし、命中率を競うという、極めて安全なもの。競技としては一○~一五メートルの距離から的を狙うが、遊びなら五メートル離れたあたりからでもOK。それでも予想以上に的に当てるのは難しく、みんなかなりエキサイトしてしまう。

「そうしているうちに、なんとなく爽快になってくるでしょう。これにはちゃんと理由があるんです」(神津教授)。矢をそれだけの距離を飛ばすためにはキチンと腹式呼吸をしなくてはならない。瞬間的に強く腹圧をかける呼吸をするため、身体の隅々まで酸素を取り入れることができ、血液の循環が良くなる。だから内臓の諸機関の活性化につながる。

ここまでは誰でも「ああ、そうだろうな」と気がつく話だ。ところが、この吹き矢の効能、身体の内部を刺激するだけではないという。「何より精神面に大きな効果があるんです。楽しい気分の時、脳内にはドーパミンという快楽のホルモンが出るんですが、吹き矢をしているとそれが流れるんですね」(同)。

理屈はこうだ。勢いよく腹式呼吸で息を吐き出すにはその前に一瞬、呼吸を止めなくてはならない。その時間、血液の流れは止まる。ちょうど川がせき止められたような状態になり、その後一気に流れ出す。この時、ほわーんと、ドーパミンが出るのだそうだ。

ゆくゆくはオリンピックの競技にしていくことも目指すというこの新スポーツ、人より早くに始めて上手になって、なおかつ幸せな気分を手に入れるというのはどうだろう。

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