百歳への招待「長寿の源」食材を追う:ウコン茶

1998.05.10 32号 14面

薬茶はいまブーム。しかし飲みやすくて価格の安いことが大切。手軽に作れることも重要。日常愛飲して養身益寿をはかり、元気な生活を楽しもう。

(食品評論家 太木光一)

中国は薬茶王国。現在流通している薬茶は九○○種に近い。うち人気の高いのが一五四品種。国民は漢方薬剤を自分で配合して、養身益寿・減肥美容・保健強身・医治疾患として日夜愛飲している。自配茶とも呼ぶ。

数多い薬茶のなかにウコン茶がある。ウコンの歴史は古く四○○○年前に香辛料としてエジプトで使用され、イスラエルを経てインドに伝えられ、中国に渡来した。

ショウガ科の多年草で、高温多湿の地によく育ち、世界の熱帯や亜熱帯で産出。日本では鹿児島以南の屋久島・種子島・沖縄などで栽培され、内地での生育は困難である。

ウコンはインドではターメリックとしてカレーに欠かせないスパイスであるが、これが薬食となる。インドの主婦は家族が発熱・風邪・疲労などで体調をくずすと、カレーの素のマサラを調合する。これが主婦の大切な仕事ともなっている。そのマサラの中核にターメリックがある。

中国ではウコンを姜黄・姜王と呼ぶが、姜王とはショウガの王様の意味である。産地は温暖、湿潤で土層の深いところがよく、具体的には福建・広東・広西・雲南・四川・江西ほか。

ウコン=ターメリックの特性は生長力が強くまた生産量も多い。同類の黄色着色料のサフランと比べて価格は数百分の一。ウコン茶は安価の商品でなくてはいけない。

利用法は煎用・粉末・生利用など。ウコンの根茎をスライスして乾燥させて煎じて飲む。このときに煎じ過ぎないこと。あるメーカーはこの製品を茶葉状に砕いてティーバッグに詰めて販売している。ウコンを黄色スパイスのターメリックのように粉末にし湯を注いで飲んでもよい。また生のウコンをよく洗い、おろし金でおろして湯を注いで飲む。これが一番効果的といわれるが、いずれも安価で効果的である。

ウコン茶およびウコンの効用をみると、胆汁分泌促進・血圧降下・止血・肝炎・肝臓病・結核・胃潰瘍・リューマチ・関節炎・胃弱・胃酸過多・結膜炎・心筋梗塞の後遺症・病後の回復などに効果的としている。

権威ある中薬大辞典によると、姜黄の性状は辛苦にして温、そして多くの治療実例が付記されている。

特性として

(1)利胆作用の良いこと。姜黄は胆汁の分泌を良好ならしめ、胆汁の成分を正常に回復させる。かつ胆襄の収縮作用を増加させる。これは黄色色素のクルクミンの効果である。

(2)肝機能全般の強化。胆汁分泌が高まるので必然的に肝機能がよく働くこととなる。主産地の一つ沖縄では昔から肝臓薬として親しまれ、特にアルコールの摂取量の多い人の肝臓を守る妙薬とされている。

(3)姜黄の煎剤は鎮痛作用がみられ、胃炎・関節炎・胆道炎・偏頭痛にもよく、降圧作用にも優れている。

ウコン茶は非常に安く、極めて手近。缶ドリンクも発売されている。特に、飲み過ぎ肝臓を痛めた高齢者に向く。

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