おはしで防ぐ現代病 ワインをより健康的に楽しむ方

1998.06.10 33号 8面

「ワインは老人のミルクである」とはイタリアの諺。適度な飲酒は心筋梗塞のリスクを六○%まで下げる、と日本では空前の赤ワインブーム。一方、白ワインも赤とは異なる作用で心筋梗塞を防ぎ、さらに殺菌効果などを持つことが注目されている。効果的なワインの飲み方・選び方を考えた。

●赤vs白

白ワインと赤ワインの比較で健康への影響を臨床する研究が、独・マインツ大学のクラウス・ユング教授によって実行された。九○人の男性を三グループにわけ、夕食時に白ワイン・赤ワイン・水をグラス二杯(○・四リットル)ずつ飲ませ、体重・血圧・コレステロール値などを八週間調べた。結果、(1)血液凝固因子であるフィブリノーゲンなどの危険要因が減少した(2)HDL(善玉)コレステロールなどの心臓血管保護要因が増加した。なお赤・白の効果に大差はないことが分かった。

●白の応援歌

ワインの優れた効果をもたらす物質としてポリフェノールが注目されている(抗酸化力を高め血管の損傷を予防したりする)。ポリフェノールは、ブドウの種と皮に多く含まれることから、赤ワインに多い。「確かに白ワインは赤に比べ量の点ではポリフェノールは少ないが、その代わり他の面でもっと活発でもっと効果的な働きを示す」と独・マインツ大学のニコライ・ヴォルム医学博士。

「これからの季節は大腸菌に強い白ワインがとくにオススメ。魚料理には白といわれる通り、生の魚介類に多い菌を、白ワインの抗酸化力が殺菌する。また、年をとって胃の働きが低下した人が、酸味が強い白ワインを飲むと、胃酸の生産が促され良い状態になる。ワインのアルコール含有量は低いので、胃の粘膜がその酸に犯されたり壊されたりする心配はない」という。

食事と同じで、ワインも、バランスと摂取量が大切。男性は一日○・四リットルまで、女性は○・三リットルを目安にして。今日は赤、明日は白。自分の食事に一番合うワインを選びたい。

(取材協力:ドイツワイン広報センター)

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