蕎麦好きはボケない、ポリフェノールPMPの力

1998.10.10 37号 16面

そばの花便りが各地で聞かれる季節、シベリアの大草原では白にまじり可憐なピンク色の花が広大な大地に揺れている。一説によると、そばの原産地はこのシベリアあたりともいわれる。また、現在世界一のそばの生産量・消費量を誇るのはロシアである。

冷涼な気候を好むそばは、土地条件を選ばず養分の吸収力が強く、雑草的バイタリティーあふれる穀物。その実には、プロアントシアニジンやカテキンをはじめとするさまざまな種類のポリフェノールが含まれている。このポリフェノールは人体への抗酸化・抗菌・抗ガン作用などが知られるが、特にそばの実に含まれるポリフェノール(PMP)は、脳に対する抗酸化活性が強いことがわかった。

独協医科大学生化学研究室の松崎茂教授の行った研究によると、PMPを与えたマウスの脳では脂質過酸化抑制作用や学習能向上作用がみられた。またボランティア二三名を対象とした試験(二〇桁の数字を二〇秒間暗記する)でも、PMP飲用二週間後で正解数が一割程度上がり、記憶力の向上が認められた。

そばポリフェノールを与えた脳中ではエネルギーの代謝が早くなり、神経伝達物質が産生されるとみられ、将来的に痴呆症の予防・治療に用いられる素材として期待されている。

古くからの和菓子屋には、質の高い麺類を出す店が多い。それもそのはず。そもそも、そばやうどんを作って販売していたのは、お菓子屋さんだったのだ。江戸時代の風物集『近世事物考』には「そばうどんは、寛永以後元禄の初迄は皆菓子屋にてこしらへたり」とある。

その後そば専門店が現れ、幕末の一八六〇年には市中に三七六三軒ものそば屋があったという。当時の人口が推定一〇〇万人だから、およそ二五〇人に一軒の割合。いまのコンビニも顔負けの盛況振りだ。

最近では逆に、おそば屋さんが作るお菓子が人気。そばまんじゅうにおやき…ヘルシーおやつにおすすめだ。

(取材協力=(株)イナサワ商店、(株)アミノアップ化学)

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